伝音セミナー

平成21年度前期 伝音セミナー

日本の希少音楽資源にふれる―SP盤にきく幻の音

京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センターでは、平成21年度前期セミナー「日本の希少音楽資源にふれる―SP盤にきく幻の音」を開催します。
日本の伝統的な音や音楽種目である雅楽、琵琶、浄瑠璃、民謡、わらべうた等は、生活や嗜好の変化に伴い、耳にする機会が少なくなっています。このセミナーは、SPレコード等に残されてきた迫力のある歌や演奏等を紹介して、広く親しんでいただくとともに、そうした希少な音楽資源からアプローチして、未来の伝統音楽の方向を探っていく試みです。
ぜひとも御参加いただき、日本の伝統音楽をお楽しみ下さい。

平成21年度前期開催スケジュール

*各回とも午後2時受付開始、会場は日本伝統音楽研究センター7階合同研究室1です。

第1回 5月7日(木)
(終了しました)
ホルンボステル『東洋の音楽』をきく
世界の音楽を比較し、系譜や進化を考える学問、比較音楽学が誕生し発展したのは、20世紀はじめのドイツでした。その発展をうながしたのは、言うまでもなく、録音技術の存在です。当時の比較音楽学を代表する人物、ホルンボステルの監修による録音を聞きながら、アジアの大きな空間と、100年にわたる時間のトリップを楽しみたいと思います。

進行役:藤田隆則(准教授)
第2回 6月4日(木)
(終了しました)
芝居を離れた浄瑠璃-新内を聴く
「河東裃、外記袴、半太羽織に義太股引、豊後かあいや丸裸」と 狂歌にうたわれたように、宮古路豊後掾の豊後節は極めて扇情的な 語り口であったといわれます。それが江戸の心中事件流行の原因とされ、豊後節は歌舞伎出演を禁止されてしまいました。残った弟子達は歌舞伎出演を続けるため語り口を改めざるを得ませんでしたが、芝居を離れ遊里に進出した新内節には、豊後節の扇情的な語り口が色濃く残っているとされています。ここでは、新旧演者の新内を聴き、豊後節の面影を探ります。

進行役:後藤静夫(センター教授)
第3回 7月2日(木)
(終了しました)
長浜曳山祭りのシャギリをきく
長浜曳山祭りといえば、子供歌舞伎が大変有名です。しかし、実はシャギリとよばれる囃子も、祭礼においてとても重要な役割をはたしています。ここでは、祭礼とシャギリとの関わりをかんがえると共に、新旧のシャギリの録音を聞きくらべてみたいと思います。

進行役:田井竜一(センター准教授)
第4回 9月3日(木) 書生節にきく流行歌の近代化
レコードが登場したのと同時期に、当時の大学生=書生たちが作って歌った流行歌が「書生節」です。彼らは立身出世を望んで学業にいそしみつつ、盛り場で遊んだり新奇なものを先取りしたりするトレンド・リーダーでもありました。そのためか、もともとは街頭に立って歌われていたその音楽に、レコード録音にも適するよう工夫した跡があります。書生節を聞いて、当時の風俗と音楽の模索をしていきたいと思います。

進行役:今田健太郎(非常勤講師)
最終更新日:2010/9/14 | 公開日:2009/3/10