京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センターでは、平成20年度後期期セミナー「日本の希少音楽資源にふれる―SP盤にきく幻の音」を開催します。
日本の伝統的な音や音楽種目である雅楽、琵琶、浄瑠璃、民謡、わらべうた等は、生活や嗜好の変化に伴い、耳にする機会が少なくなっています。このセミナーは、SPレコードに残されてきた迫力のある歌や演奏等を紹介して、広く親しんでいただくとともに、そうした希少な音楽資源からアプローチして、未来の伝統音楽の方向を探っていく試みです。第5回は明治期の長唄と義太夫節、第6回は義太夫節の「声」、第7回は寄席の音曲芸、第8回は映画説明レコードといった希少音源に耳を傾け、じっくりご堪能いただけます。
ぜひとも御参加いただき、日本の伝統音楽をお楽しみ下さい。
*各回とも午後2時受付開始、会場は日本伝統音楽研究センター7階合同研究室1です。
第5回 10月2日(木) (終了しました) |
明治期の長唄と義太夫節をきく―レコードと楽譜の接点 明治期、録音技術の導入とともに、当時のさまざまな音や音楽が録音されました。その中で、長唄と義太夫節もそれぞれ明治期の名人の演奏が残されています。一方、音そのものを保存するレコードに対して、西洋五線譜で音楽を採譜して記録するという動きも見られました。長唄と義太夫節において、SPレコードと楽譜の接点を探ってみたいと思います。 進行役:山田智恵子(センター教授) |
第6回 11月6日(木) (終了しました) |
義太夫節―美声? 難声? 普遍的な内容と優れた文学性を備えた義太夫浄瑠璃は、その語りにおいては重厚、豪放な印象を人々に与えています。事実、その印象を裏付ける演奏を展開した太夫達は数多います。中には「難声」、「悪声」と評されながら一時代を画した名人上手も少なくないばかりか、「義太夫では美声は大成しない」とすら云われることもあります。一方残されたSPレコードには、いわゆる「美声」の太夫達の演奏が相当数存在します。音源を聞きながら義太夫節の「声」を考えてみたいと思います。 進行役:後藤静夫(センター教授) |
第7回 1月8日(木) (終了しました) |
寄席の音曲芸を聴く―立花家橘之助を中心に 寄席、というと現代では落語ばかりが想像されがちです。かつての寄席では、端唄や都々逸などの三味線音楽を主とする音曲芸が、落語や講談の合間に高座を彩っていました。今回は伝説的三味線の名手である立花家橘之助の芸を中心に、寄席の音曲芸の系譜や他の芸能との関連性について考えてみたいと思います。 進行役:寺田真由美(非常勤講師) |
第8回 2月5日(木) (終了しました) |
映画説明レコードとはなにか? SPレコードには「映画説明」や「映画物語」などとラベルに記されたものがたくさんあります。これは流行歌手による「映画主題歌」とは異なり、無声映画の弁士たちが映画のあらすじや場面の再現を語るのを吹き込んだもの。すでに失われてしまったジャンルですが、声色から演説まで、さまざまな話芸を取り込んだ巧みな語り口と贅を尽くした演出は、今なお、ラジオドラマを聞くような楽しみを与えてくれるでしょう。無声映画の周辺にあった音楽などもあわせて聞いて、この種のレコードへの理解を深めたいと思います。 進行役:今田健太郎(非常勤講師) |