■日時 | 2006年8月3日(木)14-16時 |
---|---|
■担当 | 藤田隆則 |
■協力 | 亀村正章 |
「昭和18019年に制作された「日本音楽集」の中から、声明および能・狂言の録音をききます。
喜多六平太(初世)、宝生新ら名人の謡と、現代の録音との比較も試みたいと思います。
また、余裕があれば、楽譜(声明譜や謡本)と録音の対照もおこないたいと思います。
どのような音が鳴り響くのか、ご期待ください!」
国際文化振興会によって、昭和18019年に制作された「日本音楽集」は、日本音楽の全種類にわたり代表的な作品を網羅したものである(詳細は、前回の記録参照)。今回は、声明のうち日本語のもの、能楽の謡をとりあげた。中世の語り物の系譜という点では、これに平家も加えるべきであったが、時間の都合で割愛した。
謡の提示にあたっては、流派ごとに声の出し方にちがいがあるという点に焦点をあてて、個々の音源にコメントを加えた。時代がくだる後世の音源などを対照させ、声の出し方の、流派や家ごとの類似性が感じられるように努めたが、その差異は微妙すぎて、わかりにくかったかもしれない。演奏者についての情報を、もうすこし丁寧に提示すべきだったと、反省している。
音源の提示にそって、詞章がわかるように、謡本を提示した。謡本は、書体や記号の使い方において、各流それぞれの個性がある。A4三枚におよびコピーを配布したが、それぞれが個性的すぎ、音源との対照がしにくかったという意見も、後からいただいた。盛り込みすぎて、配布資料の説明が不十分になってしまった。
オプション:
時代や地域差、流派の差などを対照させるために、昭和後期の独吟「高砂」(観世寿夫)の録音、おそらく大正期の録音であると思われる、番囃子「羽衣」(井上嘉一郎他)、番囃子「玉葛」(片山九郎三郎他)を聞いた。大正期の音源は、亀村正章氏にご提供いただいた。
国際文化振興会レコード(KBS)、「日本音楽集」第1巻より、天台声明「論議」「六道講式」、和讃「釈迦如来御和讃」、御詠歌「霊場那智山」の4面の録音をとりあげた。
さらに、第2巻より、素謡「八島」(金剛巌)、「高砂」(観世鐵之丞)、番囃子「羽衣」(桜間金太郎他)、素謡「松虫」(喜多六平太)、素謡「葵上」(桜間金太郎)、素謡「鉢木ロンギ」(梅若万三郎、宝生新)、一調「夜討曽我」(近藤乾三、大倉六蔵)、蘭曲「定家一字題」(梅若万三郎)、蘭曲「実方」(宝生新)、狂言小謡「土車、七つになる子、宇治の晒、福の神」(茂山千五郎)を、聞いた。
謡の音源については、それぞれ該当する流派の謡本から、該当する箇所をコピーして、提示した。 A4 三枚。
掛り謡本(観世、宝生)と下掛り謡本(喜多、金剛)計4点を展示した。上掛り謡本と下掛り謡本を見分けるためには、どこに目をつけたらよいか、その基本事項を解説することを目的とした。さらに、天台声明の現行譜本も提示し、日本の伝統的な楽譜の、多様性の一端を示そうとした。
約15名