日本伝統音楽研究センター

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京都祇園祭り 南観音山の囃子

凡例

日本語要旨

0 はじめに

1 概況

2 担い手

3 曲目と笛の旋律パタン

4 囃子の機会

5 楽器とその奏法

6 演奏の実際

7 口唱歌・譜

8 伝承過程

9 囃子の変遷と意味付け

10 南観音山における囃子の特色

謝辞

文献資料

音響資料

映像資料

English summary 英語要旨

 

 

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2 担い手

囃子をはやす者を囃子方といい、南観音山の保存団体である財団法人南観音山保存会の一下部組織としての囃子方会に属している。2006年現在の在籍数は62名で、その内訳は太鼓方 5、笛方 20、鉦方 37(内、代表幹事 1、幹事 8、相談役 3)である。その氏名は、百足屋町会所(町家)の二階に木札によって掲示される(入会順)。現在は、他の山鉾とくらべても、子供の数が非常に多くなっているが、これは20数年前の一時期、子供の数が極端に減少したため梃入れしたことによる。一方で、年配者と若手・子供の間が手薄になっている。なお、転勤などの仕事の都合で休会し、またもどってきて再開することもできる(過去の囃子方在籍者については、「例年囃子方連名 南観音山」〔百足屋町史編纂委員会 2005:276-278〕を参照)。

囃子方会では、平成12(2000)年に幹事会を設立し、規約が制定された。それによると、代表幹事1名と幹事若干名をおくことになっており、任期は2年である。また代表幹事は、保存会が選任し、保存会の理事にもなる(囃子方会からは、もう2名が理事となる)。代表幹事は前期の財団の理事達がえらび、新幹事は新代表幹事が任命する。現在、幹事は8名である。また町内在住の囃子方で保存会の常任理事の人と、前代表幹事で囃子方会の最長老である人に、相談役を依頼している。町内在住の常任理事は、保存会との強いパイプ役となっており、また外部との渉外の役割をはたしている。これらの人事は、保存会理事の承認を必要とする。前述のように、かつては囃子方の運営を囃子方の長(取締)が全てとりしきっていたが、現在は代表幹事を中心にして、囃子方会幹事会のメンバーが様々な役割を分担して運営をおこなっている。幹事会のメンバーには、企業の研究員・公務員・司法書士・企業の営業マンなど様々な職業の人々がおり、それぞれの職種での経験が囃子方の運営に十分いかされている。

囃子方会の会計は、保存会よりの運営費補助金、および鉦すりや帯の販売収入、出囃子等の御礼収入が主なものとなっている(百足屋町史には、平成16(2004)年度の「囃子方収支報告書」が掲載されている〔百足屋町史編纂委員会 2005:633〕)。

囃子方会にはいれるのは、囃子方および町内の人の紹介がある場合である。町内・囃子方関係者が最優先であり、その他の場合も保存会の理事会にはかる必要があるので、慎重に対応する。申し出があった場合、まず囃子方会でうけて、見習いとして囃子の稽古を見学してもらう。そして、様子をみた上で、幹事会で協議し、最終的に代表幹事が毎年4月におこなわれる保存会の理事会にはかって、入会が正式に決定される。あまり小さいと、自分自身の面倒をみられず他の人に迷惑をかけるので、入会できるのは通常、小学3年生以上の子供としている。

また、平成4年(1992)より、女子も囃子方に参加し、巡行時にも山にのっている(2006年現在の在籍数は7名、〔百足屋町史編纂委員会 2005:276-275〕掲載の記事を参照)。なお、南観音山では、やる気と生涯やりとおすという覚悟が十分確認できれば、上記の基準に該当しない人や、20歳以上の人でもうけいれる場合がある(その場合、必ず鉦からはじめてもらう)。現在、そうした人が数名在籍している。こうしたところにも、南観音山のひらかれた一面をみることができる。

囃子方会に入会した際には、7月1日の二階囃子の稽古始めの日(ないしは研修会の初回)に、保護者はお披露目をする。昔は各自で菓子などを用意していたが、現在は会所(町家)の一階をかしている関係で、そこにはいっている和菓子屋の菓子をつかってもらっている。かつては、まず鉦をならい、それから太鼓や笛にうつったが、現在では、鉦→笛→太鼓という順番で、一通り習得する形態をとっている。笛方・太鼓方の責任者は、幹事会のメンバーが担当する。通常、入会して1年程度は、巡行当日の山にのせてもらうのは、出発から四条新町までである。

  

巡行の際のはやす順番や席順は、代表幹事および各方の責任者が協議して決定する。その際考慮されるのは、入会年数、二階囃子の稽古や研修会への出席率(全体で3回以上欠席すると、鉾にはのせてもらえない場合がある)、やる気、囃子の技量などである。また、選考にあたっては、囃子をおこなう場をふまえることも大事とされる。特に巡行の最初と最後は重要な場であり、町内の人々も多いし、囃子方の家族や友人も大勢つめかけており、囃子をしめてかからないといけないので、人選には気をつかうという。山にはどんなにがんばっても45名程しかあがれず、一方囃子方は50名以上いるので、2005年から班(3班体制)にわけてあがっている。

囃子方の衣裳・前

囃子方の衣裳・後ろ
〔写真1・2〕囃子方の衣裳

囃子方の衣裳のうち、浴衣は隔年で新調する(保存会持ち)。帯は正絹の博多帯で個人持ちであり、草履もまた同様に個人持ちである(帯は保存会より購入)。なお、以前は鉢巻をしたが、最近はあまりしなくなっている。   

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