2 担い手
囃子をはやす者を囃子方といい、放下鉾祇園囃子保存会がその担い手となっている。2007年現在の在籍数は46名で、その内訳は太鼓方 14、笛方 16、鉦方 16である。その氏名は、小結棚町会所(町家)の二階に、木札によって掲示される(入会順)。
役員の組織は、会長・副会長・会計・監査をそれぞれ1名おき、成年式をおえた太鼓方・笛方の者が幹部会の構成員となる(2007年現在の幹部会の構成員数30名)。年会費は8,000円で、子供達の分は大人が負担する形をとる。現在、町内在住者は2名であり、囃子方のほとんどは市内在住である。中には、勤めの転勤の関係で、地方から祭りに際してかえってきて参加する人もいる。転勤の都合などによる休会の扱いもあり、会長の判断によりみとめられる。
入会についての優先条件は、1)囃子方の紹介者、2)、お町内の紹介者、3)人物本位となっている。年齢は内規で小学生以上としており、親か子供のどちらかが囃子方の意義を理解していることや、最低10年はつづける意思があることなどが条件となっている。会長・副会長・紹介者による面接を実施し、囃子方の考え方を理解しているか、鉾への態度は適切か等から、最終的に入会の可否を判断する。
なお、2003年から、インターネットによる囃子方の公募をおこなっている。募集要項においてその資格は、「小学生4〜6年生の男子で京都市内在住の方、条件は、お祭りがすきで10年以上つづけられる方、練習日および宵山、巡行に参加できる方」となっている。2007年現在、京都市内在住の3名が公募により入会している。
新しく入会した場合、入会金(3万円)・浴衣代・帯代を囃子保存会におさめる。またお披露目を囃子方全員にくばる。中身はお菓子で、のしに名前をかく。
鉦方・太鼓方・笛方それぞれの責任者をシンとよぶ。巡行に際して、どの場面のどの位置ではやすかということは、技量や練習への出席数等によって、会長・副会長および太鼓方・笛方のシンが総合評価する。特に渡り(出発から四条河原町までの間)は重要なので、全てに持ち場がきまっている。戻りについても、巡行の区画単位で、担当者をおおよそ配置する。
囃子方の衣裳は浴衣であり、3年毎に新調する。毎回囃子方でデザインをかんがえる。衣裳は町内持ちである(入会時のみ個人持ち)。帯は西陣織で、20年に1回新調する。最近では、平成11(2000)年に新調した。20年前から色が裏表のリバーシルとなっており、機会に応じてつかいわけている(練習中は金茶、7月13日から緑)。帯も町内持ちである(入会時のみ個人持ち、価格は7〜8万円)。履物は雪駄で、個人持ちである。なお、山鉾巡行当時は、全員鉢巻をしめる。
〔 写真3・4〕囃子方の衣裳
なお、20年程前に、お町内と囃子方との間には、囃子や囃子方のあり方への認識の違いから、確執があった時期があったが、現在は両者の関係は良好なものとなっている。