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【翻刻方針】謡伝書の具体的理解と体系的把握に向けて ―「永正元年観世道見在判伝書」の翻刻データ公開 ―

高橋 葉子 編



「永正元年観世道見在判伝書」の資料と翻刻方針など

翻刻と対校に使用した資料は以下の三本である。

  • 法政大学能楽研究所般若窟文庫「五音 観世道見書物」  (略称
  • 東北大学附属図書館秋田家史料『音曲秘伝書』第一冊     (略称
  • 早稲田大学演劇博物館『謡曲拾穂鈔』中巻              (略称

上記のうち、般若窟文庫蔵『五音 観世道見書物』と東北大学蔵『音曲秘伝書』第一冊は全文を翻刻し、異同箇所を示した。異同の程度はいずれも微細である。般若窟文庫本は法政大学能楽研究所金春家旧伝文書デジタルアーカイブにおいて公開されているので、随時参照いただきたい(https://nohken-komparu.hosei.ac.jp/books/large/1098/1)。演劇博物館蔵『謡曲拾穂鈔』中巻については、この二本との校異のみを示した。同書は貞享四年の版本で(下巻のみに奥書「時貞享四丁卯歳孟冬上浣/書肆中村五兵衛(印)」)、道見の署名と年記を欠くが、内容は先の二本と殆ど同じである。これを対校本としたのは、この版本を通じて道見伝書の内容が江戸期に流布したと思われるからである。

翻刻にあたって、『五音 観世道見書物』については原本を、『音曲秘伝書』は東北大学秋田家史料データベースからの複写物(白黒)を閲覧した。『謡曲拾穂鈔』は、雄松堂書店刊のマイクロフィルム『演劇博物館蔵 能・狂言文献資料集成』を閲覧した。

以上の伝書の詳細については、2022年度の伝音センター研究紀要『日本伝統音楽研究』20号(2023)に掲載の「「永正元年観世道見在判伝書」の音曲論―呂の声を中心に」(拙稿)を参照いただければ幸いである。なお本研究は、科研費研究(基盤C20K00131)「謡伝書用語の体系的研究―演奏の理念と表現を中心に」の成果の一つである。また本サイトでの節付の画像等については他日補充を行いたい。

本研究に際して、伝音センター2022年度プロジェクト研究「能の音曲伝書の実践的な解釈―謡鏡を読む」(研究代表者:藤田隆則。2023年度よりプロジェクト研究「祝言の音・声・音楽―能楽とその周辺」)の共同研究諸氏から様々な御教示をいただいた。また翻刻にあたっては、長田あかね氏(神戸女子大学)のご協力をいただいた。

貴重な資料の翻刻公開をご許可いただいた法政大学能楽研究所、東北大学附属図書館、早稲田大学演劇博物館に深謝申し上げます。

公開:2023年07月20日 最終更新:2024年08月29日

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