設立の理念
京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センターは、日本の社会に根ざす伝統文化を、音楽・芸能の面から総合的に研究することを目指し、2000年に設立されました。
古くから日本の地に起こり、外からの要素の受容を絶えず繰り返しつつも、独自の様相を今日に受け継いできている日本の伝統的な音楽・芸能は、日本語と同じように、日本の、そして世界の貴重な宝です。これらは、維持継承させるべきものであると共に、新しい文化創造のための源泉として発展されるべきものである、との認識をもちます。
センターは日本の伝統的な音楽・芸能と、その根底にある文化の構造を研究し、その成果を公表し、社会に貢献するように努めます。そのために国内外の研究者・研究機関・演奏家と提携し、成果や情報を共有・交流する拠点機能の役割を果たします。
京都は1200年以上にわたって、日本における文化創造の核であり続けています。このセンターは、伝統的な音楽・芸能を中心とする研究分野で、重要な役割と使命を担い、その核になることを目指します。
センターの活動
資料の収集・整理・保存・閲覧受付
- 文献資料(図書、逐次刊行物、古文献、マイクロフィルムなどの複写・非印刷資料を含む)
- 音響映像資料
- 楽器資料
- 絵画資料
- データーベースなどの電子資料
日本の伝統的な音楽・芸能の個別研究
- 専任教員による個人研究
- 非常勤講師による特定のテーマの研究
- 外部の研究者に、その専門領域に即したテーマで委託する研究
日本の伝統的な音楽・芸能の共同研究
- 国内外の多くの研究者・演奏家の参加・協力を得て、学際的・国際的な視野で、センターが行う共同研究活動(「プロジェクト研究」「共同研究」)
研究成果は出版物やインターネット上で順次公開を進めています。
活動成果の社会への提供
- 市民向け公開講座・セミナー等の開催
- 紀要・所報・資料集成などの学術出版物の発行
- 電子メディアによる情報発信
研究の対象
江戸時代までに成立、あるいは舶来した音楽(芸能)の展開と伝承
─歴史・現状・未来をみすえる─
先史時代 | 祭祀歌謡と芸能(楽器等の考古学的遺物を含む) |
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上代・中古 | 仏教音楽(声明等) 宮廷の儀礼・宴遊音楽(雅楽等) |
中世 | 仏教芸能(琵琶、雑芸、尺八等) 武家社会の芸能(能・狂言等) 流行歌謡(今様、中世小歌等) |
近世 | 外来音楽(切支丹音楽、琴楽、明清楽) 劇場音楽(義太夫節・常磐津節等の浄瑠璃、長唄、歌舞伎囃子等) 非劇場音楽(地歌箏曲、三味線音楽、琵琶楽、尺八等) 流行歌謡(小唄、端唄等) |
近現代日本社会での音楽(芸能)の展開をみすえる
- 日本国内における音楽の継承・受容・創造・発展とその未来の可能性に関する研究
- 伝統音楽の享受と教育に関連する事象の研究
広い視野で生活の音楽をみすえる
- 民間伝承と日本関連諸地域及び先住民族の音楽・芸能の研究
- 生活における音楽・芸能(わらべうた・民謡、祭礼音楽等の民俗芸能)の研究