図書室だより:第5回

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テーマ「日本伝統音楽入門」

舞楽「蘭陵王(陵王)」の図

『万葉小謡千秋楽 全』(天明7年初版 センター所蔵)の巻頭の図。
アメノウズメが岩戸の前で踊り、八百万の神々が歌い囃していると、
アマテラスが岩戸を開けたという場面です。この場面は後に日本の芸能の起源であるとも考えられるようになります。

新年度に入り本校にも新入生が入学しました。今回は新たな気持ちで、日本伝統音楽入門と題して、日本の伝統音楽にはどのようなものがあるのかということを知ることができる資料を集めました。

日本の伝統音楽というと何となく難しい、親しみにくいというイメージがある方が多いかもしれません。しかし始まった当時は最新の音楽で当時の人々が楽しんでいたはずです。では当時の人たちはどのように楽しんでいたのだろう?どこが面白かったのだろう?などと歴史を探っていくと日本伝統音楽についての新たな発見があるかもしれません。

また、各ジャンルは、いろいろと関係しあって育まれてきました。日本伝統音楽のそれぞれのジャンルを知ることで、日本伝統音楽の深みや面白さを感じることができるのではないでしょうか。

そして疑問や知りたいと思うことが出てきたら、資料を調べてみましょう。当センター図書室には各ジャンルに関する図書や雑誌、視聴覚資料が所蔵されています。閲覧室のカウンターでは担当者が皆さんの調べ物のお手伝いをいたしますので、お気軽にお尋ねください。

当センター所蔵の雅楽に関する入門書・概説書のご紹介

名称をクリックすると資料の詳細情報を見ることが出来ます。

 『日本の伝統音楽を伝える価値−教育現場と日本音楽−(京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター研究報告1)』(久保田敏子・藤田隆則編、京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター、2008年)

手前味噌で恐縮ですが、当センターの研究会の報告書をご紹介します。この本は「音楽学者が、音楽教育の現場に対して何が言えるだろうか、ということを考える集まりから出発」しその成果として出版されました。そして「日本の伝統音楽には(中略)伝えていく価値がそなわっている」という考えで書かれています。
この本では日本の伝統音楽すべてを網羅しているのでなく、「それぞれの著者がもっとも意欲を傾けているジャンルだけを、深くあつか」っており、それぞれの著者がそれぞれの切り口から日本の伝統音楽の各ジャンルの興味深い部分を述べています。そのため、各ジャンルの面白さが伝わるようなつくりになっています。
またこの本には付録CDがついています。本文に対応する部分を、音で聞くことができます。文字や写真・図だけではなく音も聞くことで、理解が深まると思います。

ちなみにこの本はこちらで購入もできます。
「 」内は「まえがき」からの引用です。)

● 『図説日本の楽器』(小島美子 藤井知昭 宮崎まゆみ編、東京書籍、2002年)
古代成立の楽器から現代までの日本の楽器を大判のカラー写真で取り上げ、一点一点その特徴を解説しています。各部の名称などの図版も充実しており、日本の楽器を概観できます。楽器によっては、製作過程や、組み立て方なども写真入りで掲載されており、楽器の構造が分かるユニークな構成となっています。またコラムも充実しており、楽器にまつわる歴史や逸話などの知識も得られます。
● 『日本音楽まるかじり』(CD2枚組)(徳丸吉彦監修、ビクター伝統文化振興財団、2003年)
日本の伝統音楽の「音の豆辞典」(ケースの帯より)です。「縄文の石笛」から現代邦楽まで、幅広く収録しています。ただ、かなりの数の曲数を収録しているため、ひとつひとつの曲は短い曲や一部分のみのものもあります。
各ジャンルがどのように違うのかということは、文章の説明を読んでも分かりにくいものです。このCDでは実際に曲を聞いて比較することができるので、耳で違いを理解することができます。

日本伝統音楽全般に関する入門書・概説書・視聴覚資料

上記で紹介した以外の当センター所蔵の日本伝統音楽全般に関する入門書・概説書・視聴覚資料をご紹介します。 これらの資料は当センター図書室の閲覧室で閲覧が可能です。

図書資料
名称 制作者 出版・発行・販売者 出版年 請求記号
こんなにも面白い古典芸能入門博学こだわり倶楽部編河出書房新社2003.7.1A1||Ha
音楽:日本の伝統芸能講座国立劇場企画・編集淡交社2008.3.29A1||Ko
舞踊演劇:日本の伝統芸能講座国立劇場企画・編集淡交社2009.2.11A1||Ko
伝統芸能を知る本(読書案内)日外アソシエーツ編集日外アソシエーツ2000.12A1||Ni
雅楽(日本の伝統芸能1)高橋秀雄著小峰書店1995.4A1||Ni||1
能と狂言(日本の伝統芸能2)児玉信著小峰書店1995.4A1||Ni||2
歌舞伎と舞踊(日本の伝統芸能3)石橋健一郎著小峰書店1995.4A1||Ni||3
人形芝居と文楽(日本の伝統芸能4)後藤静夫著小峰書店1995.4A1||Ni||4
日本の祭りと芸能T(日本の伝統芸能 5)芳賀日出男著小峰書店1995.4A1||Ni||5
日本の祭りと芸能2(日本の伝統芸能 6)芳賀日出男著小峰書店1995.4A1||Ni||6
大道芸・寄席芸(日本の伝統芸能7)大野桂著小峰書店1995.4A1||Ni||7
日本の音と楽器(日本の伝統芸能8)小柴はるみ著小峰書店1995.4A1||Ni||8
日本の楽器 その素材と響き:music gallery27茂手木潔子著音楽之友社1988.11.1B10.1||Mo
日本音楽がわかる本千葉優子著音楽之友社2005.3.10B10||Ch
よくわかる日本音楽基礎講座 雅楽から民謡まで 私たちの文化を知ろう、伝えよう福井昭史著音楽之友社2006.8.10B10||Fu
点描日本音楽の世界久保田敏子著白水社1985.8.10B10||Ku
知ってるようで知らない邦楽おもしろ雑学事典西川浩平著ヤマハミュージックメディア2003.4.10B10||Ni
日本の音楽:別冊太陽 日本のこころ 75平凡社1991.10.25B10||Ni
ひと目でわかる日本音楽入門田中健次著 ,月溪恒子監修音楽之友社2003.5B10||Ta
図解日本音楽史田中健次著東京堂出版2008.8.1B10||Ta
おもしろ日本音楽の楽しみ方釣谷真弓著東京堂出版2002.9.20B10||Ts
日本音楽の歴史と理論月渓恒子著大阪芸術大学通信教育部2001.4.1B10||Ts
"Music in Japan experiencing music, expressing culture : Global music series"Bonnie C. WadeOxford University Press2005B10||Wa
和太鼓を打ってみよう(和楽器にチャレンジ! ; 1)現代邦楽研究所編著汐文社2002.2F1||Ge||1
三味線をひいてみよう(和楽器にチャレンジ! ; 2)現代邦楽研究所編著汐文社2002.2F1||Ge||2
箏をひいてみよう(和楽器にチャレンジ! ; 3)現代邦楽研究所編著汐文社2002.2F1||Ge||3
尺八を吹いてみよう(和楽器にチャレンジ! ; 4)現代邦楽研究所編著汐文社2002.2F1||Ge||4
日本音楽を学校で教えるということ(学校音楽教育実践シリーズ ;)日本学校音楽教育実践学会編音楽之友社2001.8F1||Ni
授業のための日本の音楽・世界の音楽"島崎篤子, 加藤富美子著"音楽之友社1999.11F1||Sh
日本音楽の授業(音楽指導ハンドブック ; 24)山内雅子著音楽之友社2001.1F1||Ya

 

視聴覚資料
CD
タイトル 製作者 出版社 出版年
コロムビア邦楽名曲セレクション20 20枚組  コロムビアミュージックエンタテインメント2003.10.22
それぞれのジャンルの代表曲が収録されています。1ジャンル1枚のCDになっています。
日本の楽器 10枚組  日本コロムビア株式会社2001.11.21
日本伝統音楽で使用される各楽器を中心にして編集されたCDです。
復刻 日本の民俗音楽 36枚組 本田安次監修・解説ビクター伝統文化振興財団1998.7.21
日本各地の神楽・田楽・風流・語り物・舞楽・延年などが収録されています。
DVD
ジャンル タイトル 製作者 出版社 出版年
日本伝統音楽全般日本の伝統芸能と和楽器 小島美子監修NHKソフトウェア2003.3.1
 雅楽と琵琶楽、能・狂言、歌舞伎、文楽や楽器の解説が収録されており、日本伝統音楽を概観することができます。
雅楽雅楽 重要無形文化財 宮内庁式部職楽部下中記念財団企画・制作・著作下中記念財団2007
雅楽の全ジャンルが収録されています。
能・狂言 能楽名演集1柳沢新治監修NHKエンタープライズ2007.8.24
能楽名演集2 柳沢新治監修 NHKエンタープライズ 2007.8.24
井筒、葵上など有名な能や狂言の名演が収録されています。
文楽 菅原伝授手習鑑:人形浄瑠璃名演集 通し狂言 NHKエンタープライズ2009.4.24
文楽の演目である「菅原伝授手習鑑」が全段収録されています。
歌舞伎歌舞伎名作撰永山武臣監修松竹 NHKソフトウェア2004.7.23
義経千本桜、勧進帳、忠臣蔵など有名な歌舞伎の名演が収録されています。

この他にも各ジャンルの図書・視聴覚資料を所蔵しております。収蔵資料はこちらで検索できますので、ご利用ください。



最終更新日:2010/5/13 | 公開日:2010/5/13