9 囃子の変遷と意味付け
囃子の変遷
以前は、テンポが非常に速かった(このことは昭和 43年に収録された録音テープでも確認できる)。 これは一時期、鉦を経験しないで笛方になる人がふえたためである
。 15、6年程前から現在のテンポになった。
元々鶏鉾の 笛や鉦の音は高いが、以前はもっと高 かったという。 また、笛に関しては様々な変化がある。たとえば、昔は「ビュッ」という勢いでふいていたし、 ユリも多かった 。現在は音色はきれいだが、線が細いという。また、息継ぎの手前で大きくはねた方が格好良いといって、皆そうしていた時期もあった。
意味付け
囃子方には、無形文化財である祭礼で囃子をはやすという誇りがある。祇園囃子を「させていただく」「していただく」ということが大事であるという。一方、囃子をはやすことには一種の優越感がある。とにかく鉾にのるのがうれしいし、上からみおろすことには優越感があるという。また、囃子のおもしろさとは、常に「あそこをまちがえた」とおもいながら、精進していくことではないかという。
他方、囃子方に参加するということは、ただ単に囃子をはやすということだけではなく、様々な意味合いをもたらす。たとえば、異なった職業の人があつまっているので、一種の社会勉強になるし、相互扶助ということもでてくる。一方、それであるがゆえに、人間関係の問題もある。子供の頃はわけがわからないし、楽しい思い出だけであるが、年齢があがってくると、いろいろなことがもちあがってくることになる。「囃子は最後は人間関係である」といわれる所以である。