平成14年度第2回公開講座

「神の顕現−日韓の宗教的儀礼に見られるかたちと意味−」
(内容報告)

平成14年度第2回公開講座は「神の顕現−日韓の宗教的儀礼に見られるかたちと意味」と題して、平成15年1月17日(金)キャンパスプラザ京都で開催しました。 はじめの講演では「日本の神楽と女性の神まつりに見られる神の表現」と題して、日本伝統音楽研究センター教授 吉川周平が、下記4点のビデオを使用して、日本の宗教的儀礼にあらわれる神の表現のかたちを検討しました。 次の講演では「韓国巫俗神(ふぞくしん)の顕現の方式」と題して、早稲田大学演劇博物館助手の南聲鎬(ナン ソンホ)氏が、韓国の神々の諸相と実例多数を、パーソナルコンピュータに整理した画像を駆使して検討しました。最後にビデオによる代表例の紹介もありました。

吉川使用ビデオ

  1. 宮崎県西都市(さいとし)銀鏡(しろみ)神楽
  2. 沖縄県久高島(くだかじま)のイザイホー
  3. 鹿児島県奄美大島(あまみおおしま)のユタの神まつり
  4. 島根県邑智郡(おおちぐん)の大元(おおもと)神楽

1. は「南九州の男の神楽における自分たちの運命に関る無名の神の出現のかたち」を例示したもので、その基盤となっているものは、2. と3. の「南西諸島の女性の神まつりにおける神がかりの表現による神出現のかたち」であり、4. は「本土の男の神楽に見られる真正の神がかり」の例として紹介しました。

参考文献(吉川周平著)

  1. 1972年「上賀茂大田神社の巫女神楽」、「民俗芸能」47
  2. 1980年「イザイホーにおける舞踊」、「舞踊学」3
  3. 1983年「南九州の神楽の芸態−男の神楽と女の神まつり−」、「舞踊学」6
  4. 1984年「南九州の神楽にみられる外国の影響−外来と在来の二種の動きの様式−」、
    「演劇学」25
  5. 1984年『椎葉神楽調査報告書・第3集・第2分冊』(椎葉村(しいばそん)教育委員会)
  6. 1989年「日本舞踊の理論−舞踊の要素、構造、動作の分析−」、
    『日本の音楽・アジアの音楽』5(岩波書店)
  7. 1991年「神楽と神がかり−大元神楽をめぐってー」、
    「口承文芸研究」14
  8. 1995年「向山日当(むかいやまひあて)神楽−女性の重要な役割と憑依型の舞の構造」、
    「民俗芸能」76
  9. 1996年「静寂が破られ、立ち上がって走る−護法祭の神がかりの表現と音の環境」、
    『「音」のフィールドワーク』(東京書籍)

南氏使用画像の標目 -見えないものから見えるものへ−

  • 神々の類型、神々の分類、巫の分布、巫俗の分布圏
  • 巫俗神の顕現(儀礼の流れ)、巫俗の地域的特徴
  • 神の依り代、神棚2例、神迎え5例、位牌、巫神図3例、神像2例、祭壇、小道具、神力2例、託宣、占卜2例、神送り4例
  • 鎮護神7例、仮面戯5例
  • 結論

南聲鎬(ナン ソンホ)氏のプロフィール

  • 1963年 韓国 慶尚北道生まれ。
  • 1988年 慶北大学校人文大学国語国文学科卒業。
  • 1991年 中央大学校芸術大学演劇映像学科卒業。
  • 1994年 来日(留学)。
  • 1997年 早稲田大学大学院修士課程修了。
  • 1998年 早稲田大学大学院博士課程入学。
  • 2000年 早稲田大学演劇博物館助手(現在に至る)。
主要論文
「韓国巫俗儀礼に於ける役割演技の研究」
「境界としての神がかりの研究」
「変身の人類学的なアプローチを試みて−ミチの境界性−」
「『尻振り舞』考−日韓比較視点からの三番叟の一試論」
「舞う神と舞わぬ神」
『韓国の巫俗と芸能』図録 編著

当日の様子

廣瀬量平所長
挨拶:廣瀬量平所長

吉川周平教授
講演1 「日本の神楽と女性の神まつりに見られる神の表現」 吉川周平教授

南聲鎬氏
講演2 「韓国巫俗神(ふぞくしん)の顕現の方式」 南聲鎬氏(早稲田大学演劇博物館助手)

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会場風景1

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会場風景2

関連ページ

平成14年度第2回公開講座(広報資料)

最終更新日:2007/08/16 | 公開日:2003/02/04