平成13年度第2回公開講座

「楽器と人間 その1」
(内容報告)

日本伝統音楽研究センターにおける研究成果を一般に公開することを目的に、公開講座を開いています。
平成13年度第2回は、「楽器と人間 その1」と題して平成14年2月16日(土)、キャンパスプラザ京都にて開催しました。

挨拶  日本伝統音楽研究センター所長 廣瀬 量平


廣瀬所長(総合司会)

楽器・音を出す道具は、どうして生まれたのでしょうか。  音楽という言葉すらなかった遠い昔、それはきっと音の出る道具のようなものだったのでしょう。  それはやがて音楽のために必要な道具、つまり楽器になりました。  はじめは、人々の住んでいる土地の身近な資材を使って作られ、人々のあるいは民族の好みによって工夫され、その人達の望んでい た音楽を奏でるのに必要な道具となりました。そして、その楽器を使って音を出す技術も発達し、それによって更に楽器は改良され、 今日この世界には数多くの楽器が存在しています。

  • 改良・近代化して今日に至っている楽器
  • 原初の形のまま受け継がれている楽器
  • ある時点で目立った改良をしないままに愛奏されている楽器、などなど

今回はそうした楽器にまつわる様々な事柄の一端を、皆様と共に考えてみたいと思います。

問題提起

問題提起では、久保田敏子教授の総論の後で、アイヌの音楽文化を専門領域とする谷本一之氏に、人間 と楽器の諸相をお話しいただきました。 次に、笛の専門家の上杉紅童氏に、日本人が身近 な石や木や竹や土などから、音を出し始めた過程を辿っていただきました。

「人間にとって楽器とは」

日本伝統音楽研究センター教授 久保田 敏子
久保田教授 人体を楽器とする例としての「柏手」

「楽器のない音楽・楽器の少ない音楽・楽器の豊富な音楽の意義づけ」−アイヌ音楽を中心とする北方民族音楽の事例より−

北海道立アイヌ民族文化研究センター所長 谷本 一之
聞き手 日本伝統音楽研究センター所長 廣瀬 量平

廣瀬所長、谷本氏 (シャーマンの太鼓の打ち方をめぐって)

アイヌ民族の楽器 トンコリの演奏図(部分、谷本一之『アイヌ絵を聴く』より)

「楽器はこうして生まれてきた?」−演奏をまじえて− 管楽器編

日本伝統音楽研究センター特別研究員 上杉 紅童
聞き手 日本伝統音楽研究センター所長 廣瀬 量平

上杉氏 さまざまな楽器をあやつりながら

アイヌ民族の口琴 ムックリの演奏

石笛(いわぶえ)の演奏

篠笛(しのぶえ)の演奏

博物館での新しい試み 

引き続き、日本伝統音楽の楽器を含めて、広く収集・展示をしている博物館の方々に、それぞれの試みについて伺いました。

浜松市楽器博物館 主任学芸員 嶋 和彦
大阪音楽大学付属楽器博物館 専門職員 大梶 晴彦
京都文化博物館 主任学芸員 植山 茂

聞き手 日本伝統音楽研究センター助教授 高橋 美都

博物館での新しい試み(スライドを使用して)

嶋氏、大梶氏、植山氏

以上をうけて、参加された皆様とともに話し合いの場を設けましたが、残念ながら時間があまりとれませんでした。

当研究センターのプロジェクト研究のため、全国から集まってくる研究者の方々にも討論に加わっていただく予定で、有志にご出席いただきました。(司会 久保田敏子教授)

関連ページ

平成14年度第2回公開講座(広報資料)

最終更新日:2007/09/04 | 公開日:2003/03/15