竹内 有一 Yuuichi_takeuchi
泉万里(日本美術史)、上野暁子(大阪大学大学院博士後期課程)、 加納マリ(武蔵野音楽大学講師)、蒲生郷昭(東京文化財研究所名誉研究員)、神戸愉樹美(国立音楽大学講師)、久保田敏子、 後藤静夫、田中悠美子(兵庫教育大学大学院准教授)、寺内直子(神戸大学大学院教授)、皆川達夫(立教大学名誉教授)、 エンゲルベルト・ヨリッセン(京都大学大学院教授)
日本唯一の擦弦楽器として江戸時代から親しまれている胡弓。三味線に比べるとはるかに耳にする機会が少なくなったが、現在でもいくつかの分野で重宝されている。その源流については、中国・琉球の楽器との関係、西洋楽器ないし「ラヘイカ」なるものとの関係、三味線との関係を軸に語られてきたが、歴史的な確証が得られていることは多くない。 この共同研究は、2007年「環太平洋ガンバ大会inHawaii」での加納・神戸による共同研究を契機とし、『糸竹初心集』など17世紀の書物にみられる言説はもとより、キリシタン文書や絵画資料を手がかりに胡弓の源流について再検討し、これまでの通説や研究状況を整理しながら、16世紀から元禄期頃までの胡弓に関する歴史的研究の新しい展望を開く試みである。
研究期間は単年度。主として下記のような研究活動を行い、公開講座において成果の一部をプレゼン発表した。電子メールによる研究ミーティングも頻繁に行ったが、その委細は省略する。研究成果に関わる論文・研究ノート・資料・年表等は、センターの紀要およびwebサイトにおいて、2009年度より順次公開していく予定である。
*第1 回:準備部会2008 年5 月26 日(月)10:00-17:00、
日本伝統音楽研究センター資料室・閲覧室・805 研究室研究例会開催に向けた資料の検索・閲覧・複写、意見交換、計画立案(上野・加納・神戸・竹内)
*第2 回:研究例会 その12008 年6 月22 日(日)12:00-18:00、日本伝統音楽研究センター合同研究室1テーマ:共同研究のコンセプトをめぐって(1)研究の趣旨と目的(竹内)(2) 各自の専門分野とこの共同研究との関わりについて(全員)(3)先行研究に関する情報整理(加納・蒲生・神戸・竹内)、意見交換(全員)
*オプション企画1:探訪調査2008 年6 月23 日(月)13:00-16:00、金峯山寺(奈良県吉野郡吉野町吉野山)テーマ:廻船入港図額(重文、万治4年銘)の熟覧、意見交換
*第3 回:研究例会 その22008 年8 月6 日( 水)12:00-17:00、日本伝統音楽研究センター合同研究室2テーマ1:胡弓の源流に関する研究史「近世随筆の中の胡弓―大槻文彦が収集・考察した近世の言説と絵画―」(竹内)テーマ2:胡弓の源流と受容を辿る(1)胡弓関連の年表についての補足説明と訂正版について(加納)(2) 貞享以前「こきゅう」の追加文字資料(蒲生)テーマ3:キリシタン史料をめぐって「『音楽の宇宙』の神戸稿を読み解く―胡弓との関連は如何に―」(神戸)意見交換(全員)
*第4 回:研究例会 その32008 年9 月21 日( 日)12:00-17:00、
2008 年9 月22 日(月)10:30-16:00、日本伝統音楽研究センター合同研究室1テーマ1:絵画史料の再検討(1)元禄期以前の胡弓描画―追加分―(2) 初期洋風画に擦弦楽器が描かれた背景(泉、加納、蒲生、神戸)テーマ2: 楽器学的考察の可能性(中溝一恵:ゲストスピーカー・国立音楽大学専任講師)テーマ3:講演「洋楽渡来考」(皆川)テーマ4:民俗芸能への視座 「派生的展開―越中おわら節、伊勢音頭―」 (後藤、竹内)テーマ5:近世初期におけるキリシタンの盲人音楽家調査に向けた課題(上野)テーマ6:胡弓の 歴史的奏法の画証的・実践的考察―ヴィオラ・ダ・ガンバを交えた試演―(加納、神戸、田中)意見交換(全員)
*オプション企画2:勉強会2008 年11 月24 日( 月・祝)13:00- 15:00、国立西洋美術館講堂(東京都台 東区)テーマ:16 世紀イタリア美術史から見る「洋人奏楽図屏風」―擦弦楽器をめぐって―(神戸)講演「対抗宗教改革 期の図像がもつメッセージ性をキリシタン図像の南蛮屏風に読み取る試み―キリスト教図像と音楽の関わり―」
(高梨光正:ゲストスピーカー:国立西洋美術館学芸課主任研究員)
*第5 回:研究例会 その4(2008 年度第3 回公開講座と共催。内容詳細はセンターニュース参照)2009 年1 月12 日14:00-17:00、日本伝統音楽研究センター合同研究室1テーマ:胡弓の謎を探る―その源流と魅力―研究成果の一部のプレゼンテーション(泉、加納、神戸、竹内)
意見交換(全員)
研究活動
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