京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター

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伝音アーカイブズ

能〈羽衣〉楽譜付(その1)

凡例

  • 画面の右側に縦書き譜をおく。その下に、上演時間の経過をしめすタイマーをおく。画面の下には、音声の波形をしめす。波形と楽譜との対照によって、鑑賞者は、一拍一拍の大きさの違いを正確に見ることができるはずである。
  • 縦書き譜は、能の音楽を構成する八拍のまとまりを、ひとつのシートに記すかたちでつくられている。時間の経過とともに、次々と八拍のまとまりのシートが進行していくように貼り付けられている。
  • ひとつのシートは、能楽の謡や囃子の拍子の出発点として重要な八拍目から記載がはじめられている。そして、シートの最後は、八拍目で終わる。すなわち、最後の八拍目と、次のシートの最初は、同じ八拍目となっている。
  • ひとつのシートには、右から謡、笛、小鼓、大鼓、太鼓の順に並べられている。それぞれの楽器の欄に記された記号は、それぞれの楽器の、さらにそれぞれの流派の習慣的な記譜法にしたがったものである。記載内容については、演奏者自身の意図を反映させるべく、演奏者自身の校閲をへていることをお断りしておきたい。
  • 謡については、シテの部分は観世流、ワキの部分は高安流の謡本の表記に、基本的にはしたがっているが、修正したところもある。なお、仮名や産み字の表記については、わかりやすいように、恣意的に変更してある。句点の記号は、能のリズムにもかかわる大切な記号でもあるので、大切なところではもれなく記載した。
  • 笛については、森田流の標準的な唱歌(森田流正歌)の仮名を記載しているが、演奏者の森田保美氏自身が慣習的に唱えている仮名が異なる場合、そちらへと修正を加えている。アシライ吹キ(拍子不合)の部分については、音の長さと配置、フレーズのまとまりなどを示すため、仮名と仮名との間を線でつないである。合ワセ吹キ(拍子合)の部分については、線でつなぐことはしていない。句ごとの合間にある息継ぎ(あるいはコミ)をしめすための記号(○)を、森田光春著『森田流奥義録』(能楽書林、1980年)の唱歌譜にならって、書き込んだ。
  • 小鼓については、粒の種類、掛け声、粒をつなぐ記号など、すべて、大倉源次郎著『大倉流大鼓小鼓手付大成第一集』(大倉会、1991年)所収の「小鼓手組初出一覧」の表記にしたがっている。
  • 大鼓については、粒の種類、掛け声、粒をつなぐ記号など、演奏者の河村大氏が現在使用している表記方法に、すべてしたがった。
  • 太鼓の打音(粒)や掛け声、打音同士をつなぐ線のかたちなどは、金春惣一(惣右衛門)著『金春流太鼓全書』(能楽書林、1953年)の表記法にしたがった。『金春流太鼓全書』には、粒の横に粒の唱えも併記されているが、繁雑さをさけるため、唱えは記さなかった。
  • 楽譜の製作は、フォーマットの原案を考案するところからはじまった。そのフォーマットにそって、藤田が、手書きで原案を作成した。複数のメンバーによる校正作業に並行して、成瀬はつみが、全体をワープロで清書した。清書されたものを能楽師の方々に修正していただいた。さらに複数での校正作業を重ねた。最終的な確認作業を、荒野愛子・関本彩子が担当した。楽譜を貼り付けるタイミングの測定については、藤田と成瀬が初期の作業をおこなった。その後、複数のメンバーで確認・修正をおこなった。製作にかかわっていただいた研究会のメンバーの名前を以下に列挙する。高橋葉子、丹羽幸江、長田あかね、中嶋謙昌、永原順子、玉村恭、上野正章、坂東愛子、恵阪悟。

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羽衣の舞台映像をより深く味わうためにのさらなる解説を、楽譜データとともに刊行いたしました。

『能〈羽衣〉を解剖するー音曲面を中心に』藤田隆則編、日本伝統音楽研究センター、2022年

内容目録、購入方法(あるいはダウンロード)などについては、下のページをご覧ください。
https://rijtm.kcua.ac.jp/publications/report/report14.html

公開:2022年03月31日 最終更新:2022年06月23日

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