大久保真利子(大阪芸術大学大学院芸術研究科研究員)、小塩さとみ(宮城教育大学准教授)、蒲生郷昭(東京文化財研究所名誉研究員、日本大学芸術学部非常勤講師)、久保田敏子(伝音センター所長)、竹内有一(伝音センター准教授)、龍城千与枝(早稲田大学大学院)、田中悠美子(くらしき作陽大学音楽学部非常勤講師)、寺田真由美(神戸大学大学院)、時田アリソン(東京工業大学外国語研究教育センター教授)、廣井榮子(相愛大学他非常勤講師)、吉野雪子(国立音楽大学非常勤講師)
ゲストスピーカー:野川美穂子、配川美加、杉浦聡
各種の三味線音楽の通ジャンル的音楽様式研究の活性化に向けて、町田佳聲の三味線音楽研究「三味線声曲における旋律型の研究」を再検証し、その問題点と新たな方向性を見出す。
平成21年度、22年度の2年間にわたり、共同研究「町田佳聲の三味線音楽研究?三味線音楽の通ジャンル的音楽様式研究に向けて」を開催し、主として町田の「三味線声曲における旋律型の研究」の再検証を行ってきた。町田の三味線音楽研究は、大正から昭和にかけての、三味線音楽研究の一つのあり方を示すとともに、町田以後の世代の研究者にも大きな影響を与えてきたと考えたからである。その過程で、二度の遺品資料調査を行い、従来未発見の町田の自筆稿本をほぼ発見できた。それを比較検討資料として追加した上で、データとして纏めたいと考えている。
しかし、研究代表者としては、町田の研究の検証と検証結果のデータ公開に留まらず、町田の研究を出発点として、町田以後の世代による三味線音楽研究のあらたな展開を示す論攷を含んだ形での研究報告書を作成したいと考えている。それには、さらなる共同研究や発表の場が必要である。新たに、時田アリソン氏を新メンバーに加えて、三味線音楽の音楽面に関する研究の活性化を計りたい。
このプロジェクト研究では、前2年間の共同研究をふまえた上で、現在の三味線音楽研究の多様性を示すべく、各研究員が独自の視点で三味線音楽の音楽様式に関する研究発表を行う。
現在の三味線音楽研究は、町田のような通ジャンル的研究というより、個別的専門的に深化している。
また、三味線音楽の音楽面の研究そのものが少ないのが現状だ。このプロジェクト研究により、今後の三味線音楽研究の活性化および通ジャンル的視点の獲得に寄与できれば幸いである。
今年度の研究会の開催は以下の通りである。