令和2年12月19日土曜日
講師:
小野真龍(天王寺舞楽協会常任理事・天王寺楽所雅亮会副理事長)
福本康之(浄土真宗本願寺派総合研究所 仏教音楽・儀礼研究室長)
小野真龍(天王寺舞楽協会常任理事・天王寺楽所雅亮会副理事長)
明治維新によって始まった日本の「近代」は、雅楽伝承にかつてなかった大きな質的変化をもたらした。神仏習合の宗教性のもとで朝廷と近畿の大社寺を主な舞台として雅楽を伝承してきた三方楽所(大内、南都、天王寺)の伶人たちは、明治政府下の雅楽局一箇所へと糾合され、神仏分離を経て形成された国家神道の世界観に仕えることとなった。宮廷雅楽からは仏教的要素は排除され、他方、担い手を失った畿内の雅楽伝承、とりわけ天王寺楽所の仏教的雅楽伝統は廃絶の危機に晒された。仏教的要素を排除した神権天皇制という特異性を持つ日本「近代」において、「天王寺楽所」がどのように保存伝承されていったのか、そしてそれはなぜ可能であったのか、現代に至るまでの仏教的雅楽の伝承活動の経緯をたどってみる。
福本康之(浄土真宗本願寺派総合研究所 仏教音楽・儀礼研究室長)
明治維新を契機に、日本仏教界は様々な変化を見せはじめる。その範囲は、教学の近代化や教団組織の再構築など、非常に多岐にわたり、音楽面においても、欧化政策の影響を受け、洋楽の受容がはじまった。特に浄土真宗系の教団では、明治期以降洋楽に対する需要が常に存在し、今日至っては大法要などで重要な役割を担うことも少なくない。では、すでに聲明や御詠歌など、儀式や信仰活動の音楽が存在するなかで、なぜ洋楽という異文化は受容され、定着するに至ったのであろうか。本発表では、洋楽がどのような価値付けをもって導入されたかを中心に、「排除されない文化」という視点も取り入れながら、仏教における洋楽受容の実態をみていきたい。
公開: 2020年11月26日 最終更新: 2020年12月03日
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