研究活動

共同研究「浪花節の語りの音楽様式を見極める」(2013年度)

   

研究代表者

時田アリソン(京都市立芸術大学客員教授・同志社大学社会学部客員教授)

幹事

山田智恵子(伝音センター教授)

共同研究員

芦川淳平(浪曲作家、批評家)
大久保真利子(大阪芸術大学大学院芸術研究科研究員)
大西秀紀(伝音センター研究員)
北川純子(大阪教育大学)
後藤静夫(伝音センター所長)
薦田治子(武蔵野音楽大学)
諏訪淳一郎(弘前大学)
園田郁(国立民族博物館)
竹内有一(伝音センター准教授)
田中悠美子(くらしき作陽大学音楽学部非常勤講師)
寺田真由美(相模女子大学)
Faith Bach(関西学院大学)
兵藤裕巳(学習院大学)
藤田隆則(伝音センター教授)
ゲストスピーカー: 浪曲師三原佐知子、松浦四郎若

目的

20世紀の日本音楽史から漏れた浪花節(浪曲)という語り芸の研究を行う。量が少ない先行研究を踏まえて、関東節、関西節、中京節の実態を解明し、語りの節名の流通を見極める。

概要

明治期に生まれて、20世紀前半に一世を風靡した浪花節の人気の秘密とは何だったのか。戦後、浪花節の流れを汲む演歌にその場所を譲ったが、今も東京や大阪で新しい世代の浪曲師(語り手)と曲師(三味線弾き)が育っており、新曲も作られているということは、その人気は絶えたのではない、ということがわかる。女流浪曲師が大多数で、ファンの層はまだ圧倒的に中年以上の男性である。しかし、若いファンもいるので、将来性がある。生きている、古典化されていない大衆芸能を研究する意義はいろいろある。音楽的に語る芸として生きていることは貴重であるし、講談や落語同様、日本独特の話芸として、広くアピールするストーリー性にも富んでいる。三味線を伴奏に、歌いながら熱情を込めた語り方の修業はなかなか大変難しいもので、芸術性が高いからである。

内容

この共同研究では、現在の浪花節の状態を調査し、その歴史的歩みをその社会性とともに認識し、語りと三味線両方の音楽分析を行う。楽譜を持たないこの語り物の即興性と規範性のバランスを検討することも大切であり、書かれたテクストの役割も探らなくてはならない。レコードその他の録音メディア、印刷メディアとインターネットと浪花節の過去と現状を見極め、メディアとの関係がこれからもどのように浪花節を発展させるか、その可能性を探りたい。これまでの語り物研究に新たな貢献ができることが期待される。



最終更新日:2013/10/9 | 公開日:2013/10/9