京都市立芸術大学

日本伝統音楽研究センター

Research Centre for Japanese Traditional Music

Kyoto City University of Arts

平成十八年度 伝音セミナー

大正から昭和初期の日本伝統音楽SPレコードを聴く

 

京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター(通称、伝音センター)では、日本の伝統音楽についての知識を深めていくためのセミナーを、定期的に開催します。学内のみならず市民のみなさんに開かれたセミナーです。今年度は手始めに、当、伝音センターが所蔵している、大正期から昭和初期にかけて世に出された SP レコードを、日本の伝統音楽を中心に、聴いていきたいと思います。古い音源に聴き入る機会をつうじて、日本の伝統音楽を再発見してみてください。日本の伝統音楽についての質問も、お寄せください。開催要領は下記のとおりです。みなさまのお越しをお待ちしております。

→第9回【2月1日(木)午後2時〜4時】の内容はこちら

内容 大正から昭和初期の日本伝統音楽SPレコードを聴く
(古代、中世、近世の日本伝統音楽)
進行役 伝音センター研究員 協力 亀村正章(委託研究員)
対象 本学学生、教員、市民
参加費 無料 (但し、先着順30名)事前申し込み不要
開催場所 京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター合同研究室1(新研究棟7階)
京都市立芸術大学へのアクセスhttp://www.kcua.ac.jp/access/
伝音センターへのアクセスhttp://w3.kcua.ac.jp/jtm/access/access.html

今年度の予定と記録    

●第1回 6月1日(木)午後2時〜4時 「古曲保存会レコード その1」 
ナビゲーター:竹内有一(伝音センター助教授)
大正9年に完成したレコード集に耳を傾けます。今回は、江戸の浄瑠璃など三味線 音楽が多く含まれています。
盤の状態がよければ、オリジナルのSP盤を古い蓄音機 で再生します。
●第2回 7月6日(木)午後2時〜4時 「国際文化振興会レコード(KBS) その1」 
ナビゲーター:田井竜一(伝音センター助教授)
昭和18〜19年に制作された「日本音楽集」の中から、民俗芸能および民謡関連の録音をききます。
また、祇園祭りの時期ですので、最初期の祇園囃子の録音もご披露します。
●第3回 8月3日(木)午後2時〜4時 「国際文化振興会レコード(KBS) その2」 
ナビゲーター:藤田隆則(伝音センター助教授)
昭和18〜19年に制作された「日本音楽集」の中から、声明および能・狂言の録音をききます。
喜多六平太(初世)、宝生新ら名人の謡と、現代の録音との比較も試みたいと思います。
また、余裕があれば、楽譜(声明譜や謡本)と録音の対照もおこないます。
●第4回 9月7日(木)午後2時〜4時 「語り物の流れ」 
ナビゲーター:後藤静夫(伝音センター教授)
第三回セミナーを受けて、仏教音楽から語り物への流れをたどってみる。
義太夫節を中心とするが、地歌等他の邦楽との影響関係も古曲保存会レコード等で聞き比べます。
●第5回 10月12日(木)午後2時〜4時 「SPレコードによる邦楽の流れ」
ナビゲーター:横山佳世子(伝音センター特別研究員)
宮城道雄氏の演奏による地歌・箏曲の録音を中心に聴きます。現代の録音との比較も行います。
●第6回 11月2日(木)午後2時〜4時 「和洋折衷の音楽:和洋合奏」 
ナビゲーター:奥中康人(伝音センター特別研究員)

現在では聞きなれないコトバですが、SPレコードの世界には「和洋合奏」という ジャンルが存在します。文字どおり、「和」と「洋」が混ざった折衷式のアンサンブル で、今日では、どちらかといえばキワモノ扱いされかねません。しかし、録音は比較的多 く残っています。そこで第6回目は、例えば有名な《勧進帳》で、普通の長唄演奏と和 洋合奏とを比較してみるようなおもしろい企画を考えています。 また、秋ですので、時代祭でおなじみの山国隊の鼓笛隊(これも和洋折衷!)の貴 重な 録音も紹介する予定です。
●第7回 12月7日(木)午後2時〜4時 「「日本音楽」と「日本伝統音楽」 」
ナビゲーター:吉川周平(伝音センター所長)

 日本伝統音楽研究センター所蔵のSPレコードは、現代につながる古い時代の演奏を知るための貴重な録音である。私個人が日本の芸術的な音楽を聞くようになったのは、昭和24年からであるが、それから現在まででも日本伝統音楽は大いに変化しているように感じられる。このようなことは、純粋な表現である音楽よりも、時代の変化からとり残されがちな「身体」による表現の舞踊を考えてみるとわかりやすい。私の場合、時代にとり残されたような民間伝承にまで考察の対象を拡大して、舞踊学に資する成果も得られた。  そこで、はじめて当センター所蔵のレコードによって、今とは異なる「日本音楽」演奏の音について考え、次に現在伝承されている民俗音楽を材料に加えて、「日本伝統音楽」の資料が、音楽とは何かを考えるのに役立つものがあるかどうか検討してみたい。(吉川 記 )
●第8回 2007年 1月11日(木)午後2時〜4時  「声を使った芸を聞く」
ナビゲーター:龍城千与枝(伝音センター特別研究員)

明治期の歌舞伎・音曲界では、声をつかった芸の評価に「美音」「美声」「息遣いのよさ」などの基準をあげています。これらの評価は一体何を基準としたものなのでしょうか。 常磐津節の『山姥』は、一般的にはあまりなじみのない曲ですが、素浄瑠璃の演奏では、「常磐津らしさ」満載の作品として、比較的頻繁に演奏されます。今回は、『山姥』を中心に、明治・大正・昭和と時代を超えて変化する演奏者の個性を聞き比べながら、明治期の日本音楽の評価が、一体何に注目したものだったのか、様々な「声」を聞きながらたどってみたいと思います。
●第9回 2月1日(木)午後2時〜4時 「富崎春昇の至芸を聴く」  
ナビゲーター:久保田敏子(伝音センター教授)

前回の「声を使った芸を聞く」を受けて、地歌箏曲界で名人と謳われた盲目の音楽家・ 富崎春昇の至芸を聴きます。当センターにあるSP音盤と、別途入手した音源の中から、地 歌三弦での弾き歌いで、三味線組歌破手組「京鹿子」、手ほどきもの「海老」、端歌もの 「閨の文」、謡曲もの「八島」を、箏曲の弾き歌いで、箏組歌「菜蕗」、古今組 「千鳥の曲」、地歌の語りものともいえる繁太夫物の「橋づくし」(『心中天網島』)、作物「寛闊一休」、「都十二月」などから適宜選んで聞き、名人の俤に迫り、その魅力を探 ります。
* なお、当初予定の第10回3月1日(木)は中止となりました。


問い合わせ:

Tel.075-334-2240 
Fax.075-334-2241 (伝音センター事務室) email:rc-jtm@kcua.ac.jp

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公開日:2006.05.11
最終更新日:2006.01.18
事務室:rc-jtm@kcua.ac.jp
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