京都市立芸術大学

日本伝統音楽研究センター

Research Centre for Japanese Traditional Music

Kyoto City University of Arts

大正から明治初期の日本伝統音楽SPレコードを聴く(2006年度第1回)
「古曲保存会レコード その1」


第一回の様子
◆日時
2006年6月1日(木)14-16時
◆担当
竹内有一
◆協力
亀村正章
◆HP広報記事:
「大正9年に完成したレコード集に耳を傾けます。今回は、江戸の浄瑠璃など三味線音楽が多く含まれています。盤の状態がよければ、オリジナルのSP盤を古い蓄音機で再生します。どのような音が鳴り響くのか、ご期待ください!」

◆担当者コメント:
古曲保存会レコードは、研究者によって音源が企画制作され、同時にその解説書が刊行された事例としては、おそらく日本で最初のものであろう。多方面で活躍した町田嘉章の研究者としての原点を、これらの成果にみることができる。今回は、このレコード集から、豊後三流の源流にあたる浄瑠璃(一中節・宮古路節)の音源を聴いた。
本レーベルは総じて音量レベルが小さく、歌詞や細かい音が聞き取りにくい状態であった。当時レコード頒布者に配布されたチラシによれば、制作側の経済的事情により、良質の機材が使用できなかったことが、その原因の一つとみられる。レコード再生音(調弦ピッチ、声や楽器の音色)によれば、一部のレコードの回転数は、おそらく技術的な理由により、表示の回転数通りでなく、数回転から10回転ほどの範囲で、誤差が生じている可能性があると推察される。
◆視聴覚資料一覧
◇一中節「都辰巳四季景」第1・3・4・6面(浄瑠璃:宇治倭文、三味線:宇治紫調)
  古曲保存会レコード 75/166/167/169(所蔵番号001-06-13-003/001-06-13-004)
◇一中節「心中天の網島」第10面(浄瑠璃:都一楳、三味線:都一花)
  古曲保存会レコード 306(所蔵番号001-06-12-999)
◇宮古路節「伝授の雲龍」第1〜4面(常磐津志妻太夫連中)
  古曲保存会レコード 207/208/209/210(所蔵番号001-06-12-996/001-06-13-011)
◇同上各曲の近年の演奏家による演奏録音の一部
◆配布資料:
◇日本伝統音楽研究センター 2006 『日本伝統音楽研究資料集成6 日本伝統音楽に関する歴史的音源の発掘と資料化』(日本伝統音楽研究センター)より
◇町田博三(嘉章) 1920 『江戸時代音楽通解』(古曲保存会)より
◇林喜代弘 1975 「邦楽のレコード化」 『季刊邦楽』第4号
◇田邉尚雄 1919 「京都人の性質と一中節との関係」 『日本音楽講話』(岩波書店)(1984刊の講談社学学術文庫改訂版を使用)
◆回覧・展示資料:
『江戸時代音楽通解』(大正9、古曲保存会)ほか、町田嘉章の著作物。宮古路節・常磐津節稽古本、常磐津師範状など。

◆来場者
約30名
◆備考
京都新聞6月2日付朝刊に取材記事「SPで時代越えた音満喫」。

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公開日:20067.25
最終更新日:2006.07.25
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