日本伝統音楽研究センター
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上方座敷歌の研究

 

上方座敷歌集成 目次 か行一覧


まちがい節

歌詞
1. 洗い髪の投げ島田を 根からぷっつり切って 男の膝にたたきつけ 
これでも浮気は やまないかと 芝居のお化けじゃないけれども
行灯(あんど)の影から ひゅうどろどろと 化けてでる
ポイポイノポイ
2. 私しゃどうでも こうでも あの人ばかりは 締められない 
じゃによって 讃岐のこんぴらさんに 願でもかけましょか
ポイポイノポイ
3. 間違いや 間違うものだよ 地震がごろごろ
雷ゆさゆさ 蚊帳(かや)よ嬶(かか)づれ へそ立て 線香かくせ
ポイポイノポイ
4. 間違えば 間違うものだよ 木の葉が沈んで
小石が流れる 今朝(けさ)も けさとて 旦那はんが 丁稚どんに叱られた
ポイポイノポイ
5. 間違えば 間違うものだよ 木の葉が沈んで
石こが流れる 今朝も裏の畑で 狐さんに だまされた
ポイポイノポイ
6. 間違えば 間違うものだよ 雨の降らぬのに 足駄さして 傘はいて
坊さんかついだ 風呂敷包み
ポイノポイ
解説
俗曲。本調子。お座敷で生まれたコミカルソング。新町では昭和10年(1935年)頃には歌われていたという。
語釈
常識では考えられない、まったく逆を歌って間違いと洒落るところがミソ。

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待ちわびて

歌詞
待ちわびて 寝るともなしに まどろみし
枕にかよう鐘の音も 夢かうつつか うつつか夢か
さめて涙の袖袂(たもと) あれ村雨が 降るわいな
解説
小唄 本調子。
語釈
村雨 一しきり強く降る雨。驟雨。
恋人の訪れを待つ女性の心情を歌っている。

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まっくろけ節

歌詞
1. 箱根山 昔しゃ背でこす馬でこす
今じゃ夢の間 汽車でこす
煙でトンネルは まっくろけのけ
ハア まっくろけのけ
2. お嬢さん ブランコ遊びは良いけれど 
上り下りの その時に 
チラリとみえます まっくろけのけ
ハア まっくろけにけ
3. 按摩さん 杖をたよりの流し笛
犬につまずいて 吠えられて
むき出す目玉が まっくろけのけ
ハア まっくろけのけ
解説
1 番は元歌(3番まであり)。
添田唖蝉坊・後藤紫雲作詞作曲1913年。
唖蝉坊の歌がお座敷で歌われ、いろいろと替歌[が]作られた。他愛ない情景を面白可笑しく又、おおらかな色気もこめられる。

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めんこい子馬

歌詞
1. 夕べとうちゃんと寝たときに 
変なところに芋がある
とうちゃん この芋 なんの芋
ホラ 坊やよく聞け この芋は
坊やを作った 種芋だ
2. 夕べ姉ちゃんと寝たときに
変なところに土手がある
姉ちゃん この土手 なんの土手
ホラ 坊やよく聞け この土手は 
坊やが まもなくあがる土手
解説
元歌は1941年の東宝映画「馬」の主題歌の一つ、作詞サトーハチロー作曲二木他喜雄。
他にも替歌あり。
(元歌)
濡れた子馬のたて髪を 
撫でりゃ両手に朝の露
呼べば 答えて めんこいぞ オーラ
駆けてゆこかよ 丘の道
語釈
お座敷で歌われる春歌の一つ。ズバリ性的比喩である。

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松ノ木小唄

歌詞
1. 松ノ木ばかりが 松じゃない
時計を見ながら只ひとり
今か今かと気をもんで
貴方待つのも まつじゃない
2. サッポロばかりが ビールじゃない
アサヒもキリンもみなビール
だけど私が欲しいのは
今宵、あなたの くちビール
3. サントリーばかりが ウィスキーじゃない
ニッカもオーシャンもみなウィスキー
だけど私が欲しいのは
今宵あなたの 上が好き
4. 菊正ばかりが 酒じゃない
白鶴 白鹿 みなお酒
だけど私が欲しいのは
今宵あなたの 深情け
解釈
1番が元歌。元歌は1965年作曲者不詳藤田まさと・夢虹二作詞、流行歌謡曲。
他にも替歌あり、その数しれず。色街にて流行ご当地ソングとしても歌われる。
(替歌の一例)
宵は横向き夜はチャンス 朝の目覚めにや落松葉、
さんざ遊んだその後で
四国攻めとは、そりや無理よ
語釈
1. 松を待つにかけている。
2. くちビールは唇のこと。
3. 上が好きに性的比喩がこめられている。
4. 深情けはふかな酒にかかる。

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三池炭坑節

歌詞
月が出た出た月が出た 三池炭坑の上に出た
あんまり煙突が高いので さぞやお月さま 煙たかろ
(歌詞・音源あり)
1. 縞のズボンのその下に 女泣かせの棹がある 
あんまり太くはないけれど 粋な年増が気絶する
2. 白いエプロンのその下に 男泣かせの池がある
あんまり深くはないけれど 時々坊さん身投げする。
解説
1 、2 ともお座敷で生まれた春歌。

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野球拳

歌詞
野球するなら こういう具合にしやさんせ 
投げたらこう打って 打ったなら こう受けて
ランナーになったらエッサッサ、
アウト、セーフ、ヨヨイのホイ
解説
1954年前田伍健作詞・春木はるみ作曲替歌もいろいろ作られた。テーマをゴルフ麻雀
酒なぞに変えて歌われた
お座敷では拳の一つとしてアテ振りがつけられ、全国的に流行した。

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奴さん

歌詞
奴さんだよ エー奴さん どちらゆく
ハアー したこりや 旦那を迎えに
さても寒いのに 供揃(ともぞろへ)
雪の降る夜も 風の夜も
さて お供は辛いね
いつも奴さんは 高ばしょり
アリヤサ コリヤサ それも そうかいな
姉さんだよ エー姉さんは ほんかいな
ハアー したこりや 後朝(きぬぎぬ)の言葉も交わさず
明日の夜は 裏の背戸には
わしひとり サテ合図はよいか
解説
俗曲。大神楽の中に伊勢音頭がある。その民謡、伊勢音頭の後半部分の「奴さんどちら行く」が寄席や花柳界でもてはやされ、「船頭さん」と歌い出す替歌も作られた
江戸末期頃から歌われ、明治40年代に大流行した。
語釈
奴は江戸時代の武家の奴僕。撥髪鎌髭の姿で主人の行列に槍、長柄を持って供先をつとめたもの
後朝は男女が共寝して翌朝各自の着物を着て別れることから、一夜を共にした男女の翌朝を意味する。

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ヤットン節

歌詞
お酒飲むな 酒飲むなの ご意見なれど 
ヨイヨイ、酒飲みや 酒飲まずに居られるものですか。
ダガネ、あなたも 酒飲みの身になって みやしゃんせ
ヨイヨイ、ちっとや そっとの ご意見なんどで
酒 やめられましょか、トコ姉さん酒持ってこい
解説
1951年野村俊夫作詞 レイモンド服部作曲
3番まであり、当時久保幸江が歌って全国で歌われた。
替歌も、いろいろ作られ、朝鮮戦争の特需景気に沸く盛り場やお座敷で大ヒットした。

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柳やなぎ

歌詞
柳々で世を面白や ふけて暮らすが命の薬
梅にしたがひ桜になびく その日その日の風次第
嘘も誠も義理もなし 初めは粋に思いそめ 
日増しに惚れてついぐちになる 昼寝の床の憂き思い
どうした拍子の瓢箪で あた腹立つ好きぢやえ
解説
上方端歌 端唄 うた沢 二上り
三世中村歌右衛門作詞。祇園芸妓ゆかえ作曲。歌右衛門ゆかりの贔屓客、吉野五運の家紋「梅」を歌詞に詠みこんでいる。
歌には深い意味はないようだ。気楽気儘(きまま)の極楽とんぼを歌ったものか。つまり柳のように梅にしたがったり桜になびいたり気楽気儘な暮らしをしてきたがふとしたことから、瓢箪が好きになり放せなくなってしまったぐらいの意味だろう。
この曲の替歌が「浮世の有様」(1830刊)頃に作られたのだろう。
語釈
柳 柳の枝が細くけむるように垂れさがっているさまが艶ややかに美しいので、和歌や俳句にしばしば登場する。ここでは柳に風と受け流し何事にも逆らわない意。
瓢箪 夕顔の一変種で外見は夕顔に似ている。"瓢箪からコマ"で意外な所から意外なモノが現れるの意。"どうした拍子の瓢箪"で突然意外な出来事がの意。本ページ「潮来出島 」に既出、録音2曲あり。

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槍さび

歌詞
1. 槍は錆びても名はさびぬ 
昔忘れぬ おとしざし
エー サアーサ ヨイヨイ
エー ヨイヤサ
2. 鳶はさびても名はさびぬ
昔 忘れぬ 纏(まとい)もち
エー サアーサ ヨイヨイ 
エー ヨイヤサ
解説
端歌、うた沢。文政5年(1822)成立の「うかれ草」に「与作踊り音頭」として歌詞がでている。主家のために浪人になった、丹波与作の心意気を歌ったもの。
語釈
1. も2. も、今は昔の心意気を歌っている。

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夕暮

歌詞
夕暮れに眺め見渡す隅田川
月に風情を待乳山
帆上げた船が見ゆるぞえ
アレ 鳥が啼(な)く鳥の名も
都に名所があるわいな
解説
端唄・うた沢 本調子
嘉永2年(1849)刊の「大会吾妻諷」(よくよせたあづまのひとふし)に所収。
待乳山から隅田川を眺めた夕方の情景を歌った曲。
替歌も多い

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雪のだるま

歌詞
雪のだるまに たどんの目鼻
とけて流るる 墨衣
解説
小唄 二上り。
語釈
たどん 炭の粉を固めて乾かした球状の燃料。

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夜桜

歌詞
夜桜や 浮かれ鳥が 舞い舞いと
花の木影に 誰やらが いるわいな
とぼけしゃんすな 芽ふき柳が
風にもまれて ふんわりふんわりと
おおさ そうぢやいな
解説
上方端歌 端唄 うた沢 小唄 三下り
替手、 本調子 文政5年(1822)「浮れ草」に所収。井上流京舞では、井上佐多が振付けている。

語釈
吉原の夜桜を歌った曲で、江戸の粋な華やかさが感じられる。

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よさこい節(土佐節)

歌詞
1. 土佐の高知の はりまや橋で 坊さん かんざし買うを見た
よさこい よさこい
2. 見ませ 見せましょ うらどをあけて 月の名所は桂浜
よさこいよさこい
解説
高知県民謡。安政年間(1854-59)に歌われたものが明治初期からはやった。
替歌も多い
語釈
1. は純信・お馬の物語を織り込んだ歌

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淀の川瀬

歌詞
淀の川瀬の ナー 景色をここに 引いてのぼる
ヤレ 三十石舟 清き流れを水車
めぐる間(ま)毎は みなみな目ざめ 
差いた盃 押さえて助(すけ)りや 
酔うて伏見へ 管巻き綱よ
かうしたところが 千両松
よい よい よい よい よいやさ
解説
上方端歌。端唄。うた沢。江戸歌にも。嘉永2年(1849)刊「大会吾妻調」(よくよせたあずまのひとふし)四編に所収。
京の伏見と大阪の八軒家を結ぶ三十石舟が淀川を上るさまを歌っている。
井上流京舞舞地にも。
語釈
管巻き綱 船の到着と酒に酔って管を巻くにかかっている。
三十石船 近世京の伏見と大阪の八軒家間の淀川を荷物や旅客を乗せて運行した舟をいう。
千両松 伊勢の松とも豊久野にあった名松。千貫松の名で呼ばれた。千両松はそれから転じた名。
伏見 現在の京都伏見区。淀川水運の重要な河港として栄えた。灘と並ぶ銘酒の原産地。
旧伏見町は文禄3年(1954)豊臣秀吉が桃山丘陵の南端に築いた伏見城(桃山城ともいう)の城下町として誕生した。

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米山甚句

歌詞
1. 行こか参らんしょか 米山の薬師
一つ身のため ササ主のため
2. 黄楊(つげ)の横櫛 伊達にはささぬ
切れし前髪の ササとめにさす
解説
新潟県米山地方の民謡。米山は柏崎市と柿崎町の境にある山、海抜993メートル。
明治中期頃から全国的に流行。
語釈
薬師 薬師瑠璃光如来の略"朝観音・夕薬師"といわれるほど庶民に信仰された。
黄楊 つげ科の常緑小高木。将棋の駒や櫛の原料。
横櫛 櫛を鬢(びん)に斜めにさすこと。

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よりを戻して

歌詞
1. よりを戻して 逢う気はないか
未練でいうのじゃ なけれども
鳥も枯木に 二度止まる チト 逢いたいね
2. 可愛がられる 座敷をぬけて
逢いきたのに 水臭い
浮気するにも ほどがある チト おかしゃんせ
解説
江戸小唄 本調子
語釈
よりを戻す 別れた男女がまた一緒になること
1. も2. も、男と女の切ない気持ちが歌われる。

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ラッパ節

歌詞
1. たたみ叩いてこちの人
悋気でいうのぢやなけれども
一人でさしたる傘なれば
片袖濡れよう筈がない
2. いま鳴る時計は8時半
あれに遅れりや重営倉
今後の休みがないじゃなし
離せ軍刀に錆がつく
3. 寝ている芸妓をゆり起こし
裾をまくって眺むれば
三国一の富士の山
甲斐(嗅い)で見るより駿河(するが)よい
4. 石の地蔵さんにお団子あげて
どうぞヤヤコが出来るよに
そこで地蔵さんのいう事にゃ 
団子じゃいけない餅あげて
5. 向う通るは、ヒゲ紳士
縞のズボンに燕尾服
あれでもこれ見りやこれかいな
人は見かけによらぬもの
6. 僕が外出する時に
妻は玄関に送り出して 
悋気でいうのじゃないけれど
うちにあるもん買いなはんなや
7. むこう通るは女学生
大きなリボンにえび茶のはかま
あれでもこれ見りやこれかいな
人は見かけによらぬもの
(元歌)
1906年のむき山人作詞
わたしやよっぽど あわてもの 
がまぐち拾うて よろこんで
にっこり笑うて よく見たら
馬車にひかれた ひきがえる
解説
のむき山人は添田亜蝉坊の別名。替歌も沢山作っているが、社会風刺の歌が多い。市電値上げ反対運動に協力して作った歌。平民新聞に掲載された「平民ラッパ節」などがある。
ラッパ節の曲のヒントはルルー作曲の「ノルマントン号の沈没の歌」だといわれる。
ラッパ節の息は長く、最近ではゴルフブームを反映した替歌まで生まれている。替歌にはアテ振りのついたものが多い。
語釈
1. はやきもちを題材に女の情念を性的比喩にかけて歌っている。
2. は軍人さんの遊所通いを皮肉ってる。
3. は霊峰富士が女性の秘所をさし、甲斐・駿河の地名で営みを連想させるあたりが替歌の面白さだろう。
4. はヤヤコは大阪弁で赤児のこと。餅あげるは持ち上げるの意。
5. 6. は意外性をアテぶりで表現。
6. は、"うちにあるもん"に夫婦和合が秘められている。

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六段くずし

歌詞
1. 潮来出島の真菰の中で
あやめ咲くとは、しおらしや
2. あだやおろかで逢われるものか
二丁や三丁の道じゃない
3. さんさ時雨か、かややの屋根か
音をせできて 濡れかかる
解説
端唄。1. の歌詞は潮来(上方端歌)から、井上流では、初世八千代の振付で舞地として用いられ
語釈
真菰の ま は接頭語、菰はすすきや霞の様な植物をさす。

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六段くずし

歌詞
1. 潮来(イタコ)出島のまこもの中で、
あやめ咲くとは しおらしや
2. あだやおろかで逢われるものか
二丁や三丁の道じゃない
3. さんさ時雨か かややの雨か
音をせできて 濡れかかる。
解説
上方端歌。1番は茨城地方の舟歌をそのまま引用。井上流京舞の手付もある。
語釈
真菰の ま は接頭語。
あだやおろかは、かりそめや、このついでの意
かややの屋根は、茅葺の屋根のこと

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わしが思い

歌詞
わしが思いは 三国一よ 富士の深山の 白雪 
積もりやするとも とけはせぬ
浮名たつかや 立つかや浮名 あんな御方(おかた)と 云はんすけれど
人の心は 相縁奇縁 ほんにからだもやる気に わしゃなったわいな。
解説
小唄 三下り。
語釈
「客は遊女に惚れるといい、遊女は客に惚れたという」。廓をいいえて妙だ。この歌も遊女の想いを歌っている。

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わしが国さ

歌詞
わしが国さで 見せたいものは
昔や谷風 今伊達模様
恋し(床し)なつかし 宮城野信夫
ほかにないぞえ 松島ほとり しょんがえ
解説
端唄 うた沢 二上り
天保12年(1841)江戸中村座で尾上多見蔵(上方の俳優)が演じた九変化の一つ。富本「漁師」で歌われている。安政(1854-60)刊の「音曲大黒煎餅」。初編に記載
語釈
陸奥のお国自慢。つまり横綱谷風。着物の伊達模様。父の仇を討った宮城野しのぶの姉妹。それに名勝松島を詠みこんだ歌。
姉妹の仇討というのは、歌舞伎狂言「碁太平記白石噺」からとっている。

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わがもの

歌詞

我がものと 思えば軽(かろ)き 傘の雪
恋の重荷を 肩のかけ 妹(いも)がり行けば 冬の夜の
川風寒く 千鳥鳴く 待つ身に辛き 置炬燵
実に遣(やる)瀬(せ)が ないわいな
解説
端唄 うた沢 本調子
安政4年(1857)刊の「哇(はらた)松の声」に記載。
宝井其角の俳句"わが雪と 思えば軽し 笠の上"そして紀貫之の和歌"思いかね 妹がり行けば 冬の夜の 川風寒み ちどり鳴くなり"をもとにして作られた歌である。
語釈
恋の切なさ、やるせなさを、上記の二つから織りこんで見事に表現している。

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和藤内

歌詞
虎・とら・とら・とら 
千里あるよな藪の中 誰方も覗いてごろうじませ
金の鉢巻たすきで 和藤内が エンヤラヤット
捕えしけだものは虎・とら・とら
解説
俗曲。あて振りあり。余興としてお座敷で流行した。拳の一種、作者、年代不詳。
近松の「国姓爺合戦」の虎狩りのシーンに題材を求めている。
語釈
和藤内は、国姓爺合戦の主人公。後に鄭成功と改名。

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最終更新:2016/2/10 | 公開:2014/11/6