京都祇園祭り 菊水鉾の囃子

凡例

日本語要旨

0 はじめに

1 概況

2 担い手

3 曲目と旋律パタン

4 囃子の機会

5 楽器とその奏法

6 演奏の実際

7 口唱歌・譜

8 伝承過程

9 囃子の変遷と意味付け

10 菊水鉾における囃子の特色

謝辞

文献資料

音響資料

映像資料

英語要旨

 

 

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10 菊水鉾における囃子の特色

既にのべてきたように、菊水鉾は第二次世界大戦後に復活した鉾である。そのため、他の山鉾には無い特色がいくつかある。まず、その再興の経緯から、菊水鉾には他の鉾にはまけたくないという気持ちが強い。特に月鉾に対しては、囃子が基本的に同じものであることから、良い意味でのライバル意識が強い。月鉾の鉾をおいこす時や月鉾町をとおりすぎる時には、月鉾由来の曲目ではなく新しく復曲したものをはやすのは、そうした意識の表れである。

菊水鉾の囃子の特色として、次の2点をあげることができる。1つは、月鉾と共通の曲目をより精緻なものとしてはやそうという指向である。またそれとは逆に、月鉾由来の曲を差異化しようとする指向がある。菊水鉾伝来の囃子を復活しようとし、それが何曲もうまれているのは、その典型的な例である。こうしたある意味で相反する方向性を、同時に巧みな形できわめてきたということができよう。

 

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