日本伝統音楽研究センター

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京都祇園祭り 北観音山の囃子

凡例

日本語要旨

0 はじめに

1 概況

2 担い手

3 曲目と旋律パタン

4 囃子の機会

5 楽器とその奏法

6 演奏の実際

7 口唱歌・譜

8 伝承過程

9 囃子の変遷と意味付け

10 北観音山における囃子の特色

謝辞

文献資料

音響資料

映像資料

English summary 英語要旨

 

 

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7 口唱歌・譜

現在、 北観音山には、『北観音山囃子』(明治 30年7月吉日写)および『北観音山囃子』(明治42年7月吉日写)の2種類の譜が伝承されている(後者では、〈月〉の前奏曲および〈夕部〉の一部がけしてあり、短い間にも改訂がなされていることがうかがえる)。稽古の際に使用している 譜をかいためくりは 、後者を基本としたもので、現在使用しているものは、平成 13年8月に新調されたものである ( 写真 16参照 ) 。めくりがつくられるまでは、上記の譜を各自が書きうつして保有していた。

めくりの譜
〔写真16〕めくりの譜

これらの譜本は鉦の打ち方を記号化した鉦譜となっている。そこでは、三角印(▲)や丸印(●)などの記号とその位置によって、鉦のうつ場所や打ち方を表記している。たとえば、●で 鉦の凹面の真ん中打ち(口唱歌では「カン」ないしは「コン」と表現)をあらわし、 ▲とその位置で、 縁の下部における跳ね打ちおよび 払い打ち (「チ」および「チン」)、縁の上部打ち(「キ」)をしめしている。なお、 ●が3つかさなった 「 ● - ● - ●」(速い連打)は、「チャララン」と表現する。 譜にはまた、掛け声や囃子言葉、タイミングや間合いをとる際の参考になる笛や太鼓の口唱歌の一部、および様々な注意書きもしるしている。その際の太鼓は、「天」ももちいている。

この他、囃子方笛責任者の古川平三氏が、3種類の楽器の譜を詳細にしるしたものを作成しておられる。北観音山の囃子の構造を詳しくしる上で、大変貴重なものとなっている。

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