一、主旨
この年表は、16世紀以降に海外から日本に流入したとみられる擦弦楽器に関する史料、胡弓に関する元禄年間までの史料を俯瞰するものである。それらに関する考察や調査の経過等も記すことにより、胡弓が広く受容されるようになる元禄期以前の状況について、史料に基づいた客観的な研究を進めるための情報整理を目指している。(研究代表者:竹内有一)
二、作成者
この年表は、下記の共同研究の成果の一部として、共同研究員が中心となって作成したものである。
[編集]泉万里、加納マリ(企画)、蒲生郷昭、神戸愉樹美(企画)、竹内有一、野川美穂子
[協力]井口はる菜、上野暁子、笠原洋子、久保田敏子、後藤静夫、五野井隆史、高梨光正、田中悠美子、寺内直子、徳丸吉彦、中溝一恵、皆川達夫
[webコンテンツ構成]東正子
三、凡例
- 1.年代の範囲
- 日葡間交渉がはじまる天文年間(16世紀中期)から、胡弓が広く受容されるようになったとみられる元禄年間(17世紀末頃)まで。
- 2.記述内容
- (1)日本における擦弦楽器の流入や使用の状況を示すとみられる史料、および、擦弦楽器とみられる楽器名称(小弓、こきう、鼓弓、胡弓、らべいか、rabeca、violas de arco など)が記された史料。すなわち、キリスト教宣教師による通信文書類(キリシタン文書)や日本側の古文書・版本等における記述など。
- (2)擦弦楽器とみられる楽器が描画された史料(絵画史料)。
- (3)上記に関係するとみられる音楽芸能事項や歴史的事項。また、上記について考察する上で参考になると思われる歴史的事項など。
- (4)上記に関する考察や資料情報など。
- 3.記述方法
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- (1)フィールド(項目)の区分
- *「主 文」 史料からの引用文。その考察や備考
- *「分 類」 下記(2)参照。
- *「副文1」 一次史料に関する情報。著作者名、史料名、巻数、刊年(刊地)、注記。
- *「副文2」 参考資料に関する情報。翻刻・影印等の種別、資料名、巻数、注記。なお、参考資料は、代表的なものに絞り、簡略に記した。
- *「出典表」 キリシタン文書の該当部分をまとめた別表へのリンク。
- *「作業用」 図版等のファイルへのリンク(非公開。要パスワード。パスワード発行要件についての問い合わせは、研究代表者[takeuchi(アットマーク)kcua.ac.jp]まで。)
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- (2)「分類」の略号表記
- 本文の記述内容をわかりやすく提示するため、次のような略号を用いて分類した。
- *「語」 擦弦楽器(胡弓)の名称が記された日本側史料
- *「R」 擦弦楽器ラベカの名称が記された史料。
- *「V」 ヴィオラ・デ・アルコほか、ヴィオラ・ダ・ガンバにあたる擦弦楽器名称が記された史料。
- *「絵」 擦弦楽器が描画された史料。
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- (3)キリシタン文書類の史料情報
- 諸文書の成立事情が複雑であり、今後の調査の便宜をはかるために、
「キリシタン文書出典一覧」(pdfファイル)
を別途作成した。この一覧に記した書名および記号に基づいて、当該文書の頁数を示した「別表」を作成した。「別表」は、年表内の「出典表」項目から閲覧できる。
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- (4)史料の考証等
- 絵画史料の年代考証は、泉万里が担当した。
キリスト教宣教師による通信文書類(キリシタン文書)からの楽器名称の抽出や考証は、神戸愉樹美が担当した。
- (5)歴史的事項や書誌的事項等については、主として下記を参照した。
- 『世界大百科事典』CD-ROM版、1991年、平凡社
- 『山川 詳説日本史図録』2008年、山川出版社
- 『洋學史事典』日蘭学会編、1984年、雄松堂出版
- 『新カトリック大事典』1996-2009年、研究社
- 『日本古典文学大辞典』1983-85年、岩波書店
- 『改訂増補 近世書林板元總覧』井上隆明著、1998年、青裳堂書店
- 『日本音楽大事典』1989年、平凡社
- 『ニューグローヴ世界音楽大事典』1993年、講談社
四、公開と更新
webでの公開は2011年12月28日に始めた。記事の更新は随時、予告なく行う。
更新日は、各データの行末に表示した。
なお、未見の史料や考証が十分でない史料も多く残されている。web公開の特性を生かし、随時、追加や補訂を行っていくので、お気づきの点があれば、研究代表者[takeuchi(アットマーク)kcua.ac.jp]までご教示願いたい。