京都祇園祭り 鶏鉾の囃子

凡例

日本語要旨

0 はじめに

1 概況

2 担い手

3 曲目と旋律パタン

4 囃子の機会

5 楽器とその奏法

6 演奏の実際

7 口唱歌・譜

8 伝承過程

9 囃子の変遷と意味付け

10 鶏鉾における囃子の特色

謝辞

文献資料

音響資料

映像資料

英語要旨

 

 

鶏鉾の囃子トップへ

祇園囃子アーカイブズトップへ

9 囃子の変遷と意味付け

囃子の変遷
以前は、テンポが非常に速かった(このことは昭和 43年に収録された録音テープでも確認できる)。 これは一時期、鉦を経験しないで笛方になる人がふえたためである 。 15、6年程前から現在のテンポになった。

元々鶏鉾の 笛や鉦の音は高いが、以前はもっと高 かったという。 また、笛に関しては様々な変化がある。たとえば、昔は「ビュッ」という勢いでふいていたし、 ユリも多かった 。現在は音色はきれいだが、線が細いという。また、息継ぎの手前で大きくはねた方が格好良いといって、皆そうしていた時期もあった。

意味付け
囃子方には、無形文化財である祭礼で囃子をはやすという誇りがある。祇園囃子を「させていただく」「していただく」ということが大事であるという。一方、囃子をはやすことには一種の優越感がある。とにかく鉾にのるのがうれしいし、上からみおろすことには優越感があるという。また、囃子のおもしろさとは、常に「あそこをまちがえた」とおもいながら、精進していくことではないかという。

他方、囃子方に参加するということは、ただ単に囃子をはやすということだけではなく、様々な意味合いをもたらす。たとえば、異なった職業の人があつまっているので、一種の社会勉強になるし、相互扶助ということもでてくる。一方、それであるがゆえに、人間関係の問題もある。子供の頃はわけがわからないし、楽しい思い出だけであるが、年齢があがってくると、いろいろなことがもちあがってくることになる。「囃子は最後は人間関係である」といわれる所以である。

→つぎへ