凡例

1、記載の範囲
2004年10月の時点において、科研(基盤研究 C)代表者である藤田が所有する地拍子関連単行本は、ゼロックス複写の本等も含めて、147点であった。これをデータベース化した。

2、分類と配列
資料の総体に対して、次のような分類と配列をおこなう。
全体を四つの時期(時代)に区分する。
第一期・・・江戸中後期〜『能楽』創刊(明治35年)
第二期・・・『能楽』創刊(明治35年)〜関東大震災(大正12年)
第三期・・・関東大震災〜太平洋戦争終了(昭和20年)
第四期・・・太平洋戦争終了〜現在
 近代において、地拍子についての研究が本格的に開始されたのは、雑誌『能楽』において、音響物理学者の田中正平を中心とした論争があって以降である。その時期から、関東大震災までを、第二期とする。ここで時代を区切るのは、震災によって、印刷の原版や消失するなどして、出版物はあたらしい出発をすることを余儀なくされたからである。同じ理由で、太平洋戦争を時代区分の印として利用した。第四期に関しては、時間的には長く、さらに分割をすることができるかもしれないが、出版物の点数も多くないので、分割はやめた。
 さて、それぞれの区分の中で、刊行年(あるいは書写年)の順に配列することを試みた。刊行年不明の資料に関しては、四、参照資料にあげる、書誌や目録などを参考にし、推測を加え、適当な位置に配列した。それでも配列が困難なもの、刊行年について判断を保留しておきたい資料については、最後にまとめておくことにした。
3、記載事項
・単行本の部 -- 各頁の記載事項 --
・右上の欄にまず、「著者名」と「書名」をあげる。著者名については、実際の書物のほかから得られた情報の場合には、その情報の出所を明記する。 著書名は、原則として内題(巻頭書名・巻頭表題・首題)からとった。内題が見当たらない場合、「表紙(外題)」「標題紙(扉)」「柱(柱書)」「背(背書)」「目次(目録)」「序(序文、はしがき)」「跋(あとがき)」「奥附」「奥題(巻頭書名に対し巻末の書名)」などからタイトルを探して代表させた。
・右上の欄には、続いて、当該書物についての、私なりの、内容の理解に応じたコメントを記す。したがって、記述の角度や深度は様々であって、一貫しないことをあらかじめお断りしておく。ただし、できるだけ、左に掲載する写真の面に関連させたコメントとなるように、試みた。
・左の欄には、当該の書物から、それぞれ二点の写真(カラー写真)を掲載する。写真はいずれも、平成16年11月から12月にかけて、大阪国際大学人間科学部藤田隆則研究室において、デジタルカメラ (フジフィルム FinePix F710) によって撮影されたものである。それぞれの写真の狙いは、以下のとおりである。一点目の写真については資料の全貌がわかることを目指した。二点目については、地拍子にかんする、その本なりの特質がよくでているような箇所を選ぶことを目指した。
・下の欄には、必要な書誌事項を掲載する。
・「標題」については、「内題」、「標題紙」、「奥附」の項をもうけ、それぞれの項に必要な内容を記す。角書がある場合には、角書と題の間に全角スペースをおくことにする。なお、記載が無いことがはっきり確認された場合には、「 ____ 」印を付す。さらに、「その他」の欄をもうけ、その他の位置に標題が存在する場合には、すべて記すこととした。その場合、「 問謡記(表紙・巻末)、問謡記(合綴された『秘伝之抜書』の巻末)」のように、標題名の後に( )をつけて、その中に具体的な位置を示すことにした。
・「著者」については、まず、「奥附」の記載内容の有無を確認して記す。「 ____ 」が記されている場合は、次のどれかを意味する。奥附が存在しない、著者がもっている資料が部分的なコピーであるために奥附部分が確認できない、奥附があっても、そこに著者名の記載がない。「その他の場所」の欄には、著者名がその他の位置に表れる場合、「 愛水子(巻一序・巻第二・三・四・五巻頭.巻第五跋)」 のように、著者名のあとの( )内に、それをすべて記した。
・「出版」の欄では、「版次」「出版地」「出版社」「出版年」のそれぞれの事項を記す。
・「版次」については、資料からそれが確認できない場合には、「 ____ 」を記す。
・「出版地」については、主に奥附から情報を得た。資料からそれが確認できない場合には、「 ____ 」を記す。
・「出版社(出版者)。についても、主に奥附から情報を得た。資料からそれが確認できない場合には、「 ____ 」を記す。また、当該出版社(者)の役割が多岐に渡っていることが奥附から判る場合、「 江島伊兵衛(編集・発行・印刷)」のように、( )内にそれを補足することにした。
・「出版年」の欄には、奥附に記載されている、出版年を記す。奥附の存在が確認できない場合には、この欄には「 ____ 」を付す。版次が重なっていることが奥附の記載などから確認できる場合、出版年については、もっとも新しい年の記載をとりあげ、それをこの欄に記す(したがってここに記載されるのは初版年ではないことに注意)。なお、当該書物に関して、何らかのかたちで初版年が明らかにできる場合、備考欄にそれを記す。
・「出版年」の次の「その他の場所」の欄は、当該書物のその他の位置に、出版年が確認できる場合、それを「巻末 慶安5( 1652 )」のように、記載される位置とあわせて、記す。

・「形態」については、「冊数」「頁数(丁数)」「寸法」をそれぞれ示す。なお、これらの項については、当該書物が部分的なコピーのかたちで、存在している場合には、まったく意味をなさないと思われるので、その場合には「____ 」を記して、記載を省略している。
・「状態」欄には、「写本版本の別」をまず示し、次に、「現物複写の別」を示す。後者については、主に、ゼロックスコピーや紙焼き写真等、公刊されていないものは、「複写」のカテゴリーとし、たとえ写真であっても影印本として公刊されているものは、「現物」のカテゴリーにいれた。
・「備考」欄には、補足が必要な書誌事項を記す。初版年の情報がわかれば、ここに示される。