『邦楽の友』は国内で最も長く刊行されている邦楽専門誌です。1955年（昭和30年）創刊当時より邦楽の様々なジャンルを取り扱っており、特集記事や音楽学者の連載、演奏家によるエッセイ、各派・団体の活動状況、邦楽ラジオ番組の放送情報や演奏会評といった多岐にわたる記事が毎号掲載されています。
第二世界大戦後に創刊された邦楽専門誌には他に、1974年（昭和49年）から1994年（平成5年）まで20年間発刊されていた『季刊邦楽』や1987年（昭和62年）に創刊され、現在も刊行されている『邦楽ジャーナル』がありますが、刊行時期と期間を考えてみても『邦楽の友』に収録されている情報は、戦後の邦楽界の状況を知るという意味で重要な資料と言えるでしょう。
しかし、これまでに本誌に収録された記事をまとめたデータベースはなく、『邦楽の友』所収の記事に当たるのは容易ではありませんでした。こうした状況を踏まえ、今回当センター所蔵の『邦楽の友』既刊号をもとに、雑誌が創刊された1955年から1989年（昭和64年・平成元年）までの記事索引を作成しました。限られた時期のみを扱い、また欠落している号もあるため不完全ではありますが、本データベースが広く邦楽研究に携わる研究者
の一助になれば幸いです。
尚、本データベースは日本伝統音楽研究センター2021年度（令和3年度）、2022年度（令和4年度）の委託研究を受けて作成されたものです。
最後に、データベース作成にあたってとくに留意したことをいくつか記しておきます。まず著者、記事名、掲載ページなどの基本的な情報は、原則誌面に基づいて作成しました。というのも、目次と実際の誌面とで記事名や掲載ページ番号が一致しないケースがあったからです。そのほか、例外的に対処した場合や特記すべき事柄がある場合については備考に付記するようにしました。データの作成に際しては、特定の記事の一部とみなすべきか、個別の記事として扱うべきかといった問題にしばしば突き当たり、判断に迷うことも多くありました。公開されたデータベースの記事名は、最終的に編者が判断したものです。十分に注意を払いましたが、誤り等がありましたらお手数ですが編者 nao.t.hanagusuku（アットマーク）gmail.comまでお知らせください。
当センター所蔵の「邦楽の友」
(上記リンク先は当センター収蔵資料データベース）