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京都市立芸術大学

日本伝統音楽研究センター

Research Centre for Japanese Traditional Music

Kyoto City University of Arts

プロジェクト研究

日本伝統音楽を対象とする音楽図像学の総合研究 2001年度

楽器の復元に関する総合研究 2001年度(→2002年度より音楽図像学の総合研究に統合)

音楽図像学とは、美術作品・視覚的資料における音楽的な題材や主題の、分析・解釈を扱う学問分野である。欧米ではこの20年で目覚ましい研究成果が上がっている。日本では、資料の体系的収集や整理、目録作りなどの先行例はあるが、まだ充分な展開をしているとはいえない。そこで今回の長期プロジェクトでは、まず方法論の検討から始め、写真複写、印刷、画像データーの処理などの技術面の進歩に伴う新しい可能性の開拓まで含め、関連諸学の専門家の協力を仰いで、総合研究を行いたいと思う。  楽器に関しても、古い楽器の所在、形態・法量、材質・制作技法、調律や演奏技法などについてのデータは、各機関によって収集されているが、そのデーターの集積と活用のために新技術を生かして、研究者が活用できる共有資産を形成する方向を模索したと考えている。特に、古楽器(歴史的楽器)を実際に音楽を鳴り響かせる状況にもっていくためには、類例や絵画資料の検討なども含め、研究者・制作者・演奏者などの多くの力の結集が必要である。  日本伝統音楽研究センターが最初に手がけるプロジェクト研究は、上記二分野に関連する各方面の研究者の協力を要請して相互に刺激しあい、広範な学術研究としての成果をめざしたいと思う。


第1回研究集会(2001.07.28 - 29)

(京都市立芸術大学 日本伝統音楽研究センター7階 合同研究室1)

◇「音楽図像学の方法論をめぐって」「楽器の復元に関する従来の試みについて」

研究代表者や研究センター関係者が中心となり、音楽図像学・楽器研究の方法論・研究史について総括、今後の研究方針を定める基調報告を実施。従来の研究成果を検討。

  1. 音楽図像学プロジェクト基調報告: スティーヴン・G・ネルソン / 勝村仁子
  2. プレゼンテーション1: 冨金原 靖 「楽器の復元について」
  3. 報告:関根敏子 / 高橋美都 「IAML(国際音楽資料情報協会)におけるRIdIM(国際音楽図像資料目録) 部会について 」 
  4. プレゼンテーション2: 田島みどり 「国立音楽大学音楽研究所音楽図像学研究部門の活動について - 特殊研究:阿弥陀来迎図に描かれた楽器の変遷 -」  

第2回研究集会 (2001.11.17 - 18)

(東京芸術大学音楽学部大会議室)

音楽図像学関係史料 特別展観 (2001.11.17)

(主催:京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センター / 協賛:上野学園日本音楽資料室 / 会場:上野学園日本音楽資料室)

◇オーストリア、インズブルック大学音楽学研究所所長のティルマン・ゼーバス教授の基調講演。研究プロジェクト・メンバーによる研究報告(5件)と全体討論。上野学園日本音楽資料室の協力による特別展観(音楽図像学資料関連)も同時に行った。

  1. 基調講演:ティルマン・ゼーバス  「東アジアにおける音楽図像をどう考えるか」
  2. プレゼンテーション1 :竹内 有一  「近世外来系の楽器図像の諸問題 - 長崎版画を中心に -」
  3. プレゼンテーション2 :遠藤 徹 「描かれた舞楽とその背景 - 一遍聖絵を中心に -」
  4. プレゼンテーション3 :谷本 一之  「図像が呼び寄せる音楽」
  5. プレゼンテーション4 :樋口 昭  「洛中洛外図から読みとる中世の音」
  6. プレゼンテーション5 :由比 邦子  「密教図像としての弓形ハープ」

第3回研究集会 (2002.02.16 - 17)

(京都市立芸術大学 日本伝統音楽研究センター7階 合同研究室1)

◇「日本伝統音楽における音楽図像学に関する研究報告」「図像学と楽器研究の統合について」 研究プロジェクトメンバーによる研究報告(5件)と全体討論を行った。今後の活動方針(研究や出版、学会の発足など)に関しても検討。

  1. プレゼンテーション1 :蒲生 郷昭 「『日本の音楽図像学』前史」
  2. プレゼンテーション2 :長谷川 由美子 「錦絵にみる出語り図の変遷」
  3. プレゼンテーション3 :高桑 いづみ 「絵空事の合奏」
  4. プレゼンテーション4 :Monica BETHE  「能の図の時代変化 −『賀茂』の図を考える」
  5. プレゼンテーション5 :山寺 三知 「五代王処直墓の散楽図について」

補足研究会 (2002.03.28 - 30)

(京都市立芸術大学 日本伝統音楽研究センター7階 合同研究室1, 2, 楽器庫)

◇「楽器の復元に関する総合研究」研究プロジェクトメンバーによる研究報告8件・楽器庫の見学とアドバイス

  1. プレゼンテーション1 :秋田 真吾 「春日若宮神社笙の簧に関する成分分析」(付:「春日大社の正遷宮関連行事について」)
  2. プレゼンテーション2 :高橋 美都 「日本伝統音楽研究センターの収蔵楽器の現状と収蔵品管理システムの導入に関して」
  3. プレゼンテーション3 :岡田 万里子 「博物館収蔵品としての楽器ならびに修復あるいは復元に関して」
  4. プレゼンテーション4 :大梶 晴彦 「大阪音楽大学付属楽器博物館所蔵資料の保全について」
  5. プレゼンテーション5 :小野 真 「雅亮会の組織と楽器管理について」
  6. プレゼンテーション6 :竹内 有一 「三味線をめぐる復元・管理・保存」
  7. プレゼンテーション7 :冨金原 靖 「国立劇場が関与した復元事例を中心とする楽器復元の基礎作業について」
  8. プレゼンテーション8 :嶋 和彦 「浜松市楽器博物館の施設運営・楽器管理・復元事例について」

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公開日:2002.11.8
最終更新日:2002.11.8
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