京都市立芸術大学
日本伝統音楽研究センター
所報
第1号 2001年3月
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共同研究
センターニュース
(2000.04.01〜2000.12.31)
共同研究
邦楽歌詞研究 I 〜地歌・箏曲〜
- 研究代表者:久保田 敏子
- 共同研究員:小野恭靖(大阪教育大学助教授・歌謡研究)、佐々木聖佳(甲南女子大学文学部非常勤講師・歌謡研究)、鈴木由喜子(京都女子大学非常勤講師・近世邦楽)、永池健二(関西外国語大学教授・歌謡研究)、野川美穂子(東京芸術大学非常勤講師・近世邦楽)、真鍋昌弘(奈良教育大学教授・中世近世歌謡研究)、山根陸宏(天理大学附属天理図書館司書・近世邦楽)
- 主として座敷音楽として伝承されてきた邦楽である地歌・箏曲は、「語り物」にはない「歌謡」としての面白さがある。現在、歌謡の専門家を交え、「三味線組歌」の歌詞の諸本校合と、関連歌謡、語釈、などを分担し考察・研究している。歌謡と音楽の両面からの総合的研究として、非常に意義深く、良い成果が期待される。今年度は「表組」を中心に行った。
山車囃子の諸相
- 研究代表者:田井 竜一
- 共同研究員:青盛透(京都学園大学助教授・芸能史)、岩井正浩(神戸大学教授・音楽学)、入江宣子(仁愛女子短期大学非常勤講師・民俗音楽学)、植木行宣(京都学園大学教授・芸能史)、垣東敏博(福井県立若狭歴史民俗資料館学芸員・民俗学)、樋口昭(埼玉大学教授・日本音楽史)、福原敏男(国立歴史民俗博物館助教授・歴史民俗学)、増田雄(三重県立上野高等学校非常勤講師・歴史学)、米田実(水口町立歴史民俗資料館学芸員・民俗学)
- 日本各地には多数の山車祭りが存在し、その多くが囃子をともなうが、それらの個別的な調査研究や総合的な把握は非常におくれている。本共同研究は、日本文化史や芸能史の上での山車祭りの位置づけを再検討し、それを元に山車囃子の特質と系譜を考察しようとするものである。同時に、将来における京都、祇園祭りならびに祇園囃子の総合的な研究の手がかりとすることも目的としている。また、山車祭りが複合的な性格をもっていることから、音楽学・芸能史・民俗学・歴史学等の幅広い専門分野による、学際的アプローチをとる。
- 第1回研究会 2000年11月18日(土)共同研究の趣旨説明、話題提供:植木行宣「山・鉾・屋台の祭りと囃子」、総合討論:今後の研究会の進め方について
琴・筝の系譜―楽器、文献と奏法―
- 研究代表者:スティーヴン・G・ネルソン
- 共同研究員:青木洋志(上野学園日本音楽資料室研究員)、磯水絵(二松学舎教授)、遠藤徹(東京学芸大学専任講師)、福島和夫(上野学園日本音楽資料室室長)、和田一久(福井工業大学講師)
- 琴箏類は日本の音楽史を貫く、大きな存在である。古代から近世、そして現代に至るまで、この属の楽器が活躍しなかった時代はない。日本古来のコト(和琴、ワゴン/ヤマトゴト)、中国から8世紀までに伝来した琴(七絃琴)や箏は、さまざまな音楽の中で用いられてきた。その系譜を明らかにすることには大きな意義があるといえる。
- 手始めとして、本共同研究では、日本の古代史の文献、六国史の『日本三代実録』を取り上げ、そこに表れた音楽関連の項目を抽出し、検討することにより、文字の上だけでは区別しにくい琴箏のどの種類が、どのような場面で用いられたかを解明しようとしている。同時に、平安時代から鎌倉時代にかけて編纂された箏の楽譜集成(『仁智要録』『類箏治要』)をさまざまな観点から分析し、雅楽における箏の奏法の変遷を考えている。分析の前提として、それぞれの楽譜集成の写本類を校合(比較対照)することにより正しいテクストに遡る必要があるので、本文研究も主たる目的の一つとなっている。なお、そうした楽譜集成を正しく理解するには、そこに含まれている中国文献の、夥しい数の引用を、原典から明らかにすることが必要である。そこで、中国文献が豊富に所蔵されている教育機関に所属する学者の協力をもお願いすることとなった。
- 打ち合わせ 2000年8月24日(於:上野学園日本音楽資料室)
- 第1回研究会 2000年11月11日(土)〜12日(日)
- 第2回研究会 2000年11月25日(土)〜26日(日)
- 第3回研究会 2000年12月16日(土)〜17日(日)
- 研究会はいずれも京都市立芸術大学日本伝統音楽研究センターにて行った。
委託研究
- 「音楽図像学の基礎研究」国立音楽大学非常勤講師(音楽学) 勝村仁子
- 「舞楽関係映像の記録作成」舞楽写真家 酒井信好
- 「三曲合奏における尺八の意義」尺八研究家 森田柊山
センターの学外協力
- 日本歌謡学会 平成12年秋季・(社)東洋音楽学会第51回合同大会事務局(現地事務局は金沢市ネオ企画) 2000.10.7(土)〜8(日) 大会プログラムは日本伝統音楽研究センターが作成
- 京都の民謡録音資料に関する協力
- 1982〜1983年にかけての「京都府民謡緊急調査」では、90分コンパクトカセットで約200本という、膨大な録音記録がなされた。これらには、調査協力者との話のやりとりがそのまま収録されており、民謡がうたわれてきた背景にあたる内容も多数ふくまれ、民謡の記録にとどまらない民俗総体の記録として貴重なものになっている。しかしながら、調査から20年近い時間の経過の中で、磁気テープの劣化にともない、貴重な資料が消滅する危惧がでてきた。それらの録音資料の保存・活用をはかるため、当時の調査員を中心にして、京都府民謡記録研究会が結成された。センターは同研究会に協力し、すべてのアナログ録音をセンター視聴覚編集室においてデジタルに変換し、研究会とセンターの双方で永久保存すると共に、学術研究に供する予定である。
研修会
- 「研究所の社会的使命」 講師 久万田 晋(沖縄県立芸術大学付属研究所助教授)
2000年7月26日(水) 午後3時〜5時 於:センター会議室
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