京都市立芸術大学
Research Centre for Japanese Traditional Music
Kyoto City University of Arts
平家の貴公子の中に、詩歌管弦を能くした者が多かったことは周知の通りです。清盛の弟、経盛の子息には、琵琶弾きの経正と笛吹きの敦盛がいましたが、『平家物語』を通してその才能が広く知られるようになったものの、音楽の記録などからは平家の人々の業績がほとんど抹消されており、その実像については不明な点が殊の外多いのです。
今回は、琵琶弾きの経正が主人公となるエピソードの語りを中心に据えながら、解説ではさまざまな史料を検討しつつ経正の人物像に迫りたいと思います。経正はいつ生まれたのか、仁和寺の稚児であった幼少時代に誰に琵琶を教わったのか、「青山」という琵琶の名器をなぜ与えられたのか、などなど多くの謎が残されていますが、それらを明らかにすることで平安末期の音楽文化の中で平家の人々が果たした役割の一面に光を当ててみたいと思います。
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